2011 Fiscal Year Research-status Report
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23740072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮部 賢志 京都大学, 数理解析研究所, 研究員 (00583866)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アルゴリズム的ランダムネス / アルゴリズム的確率 / 確率哲学 / 予測理論 |
Research Abstract |
平成23年度は,1,非ランダムさを捉える集合の測度についての新しい性質の発見,2,微分可能性とランダムネスの関係の統一的説明,3,アルゴリズム論的確率の拡張,などの成果を得た. 非ランダムさは,不自然さと解釈できる.ランダムネスの理論では,テスト,マルチンゲール,複雑性によって非ランダムさを測る.これらの尺度の関係を調べた所,きれいな対応関係は見つけられなかったが,テストの場合の非ランダムさには異なる特徴付けがあることを発見し,非ランダムさについての深い理解につながった. 微分可能性とランダムネスの間に深い関係があることが最近知られるようになった.この対応について,積分テストを使う事で統一的な説明を与えた.確率概念について計算可能性の観点から捉えるためには,解析学とランダムネスの関係について深い理解が必要である.積分テストはそれらの架け橋となる主要な道具となると思われる. またSolomonoffによるアルゴリズム論的確率のいくつかの点での拡張も行った.1つには定義される空間の拡張であり,ランダムネスの強さによって拡張できるための位相の強さに制限が加わる事を見つけた.このことは,確率概念を考える上で,計算可能性のクラスを注意深く考慮に入れる必要があることを意味している.2つ目には予測する対象を次の点だけではなく,その後のすべての点に拡張した.この拡張には上記の積分テストが大きな役割を果たした.この結果は,「確率とはその点がランダムとなる測度である」という主張を部分的に支持するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度には,積分テストによる複数のランダムネスの概念の特徴付けを与え,一般空間上のランダムネスを考えるための道具立てを得た.更に,Solomonoffの理論の拡張が,自然な確率概念を導く事も部分的に確認した.計算可能性や位相の条件の強さとそこから導かれる確率概念の性質についての関係も,積分テストを使った表現が自然であるとの方向性も得た.
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Strategy for Future Research Activity |
Kolmogorovの確率論に対応するようなきれいな形で確率が表現されるのは,かなり限定的な状況である事が次第に分かってきた.そこでこの場合の確率が持つ性質について最初に明らかにする.その後,位相や計算可能性にどのように依存するかや,統計や機械学習,情報理論などとの関係について調べる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定していたパソコン,図書などは,研究が進む中で必要最低限の物の購入に止めた.出張については研究の成果および日程の都合により,予定とは異なる行き先および回数となった.次年度に使用する研究費および翌年以降に請求する研究費は,コンピュータ,ソフトウェア,図書,国内および海外旅費,英文校閲などに使用する.
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Research Products
(15 results)