2011 Fiscal Year Research-status Report
自己双対錐を不変にする線形作用素の固体物理学への応用
Project/Area Number |
23740112
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
宮尾 忠宏 摂南大学, 理工学部, 講師 (20554421)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 数理物理学 / 関数解析 / 物性基礎論 |
Research Abstract |
凝縮系物理学においてPerron-Frobeniusの定理とReflection positivityは、それぞれ異なる起源をもち、さまざまな局面で用いられてきた。平成23年度の研究を通じて、この一見異なるように見える2つの流れが実は数学的にはより一般的な理論の異なる側面であることを明らかにした。このより一般化した理論構造を知らべ、いくつかのよく知られたモデルに適用した。具体的にはBCSモデルの基底状態の一意性、巨視的な位相が揃った状態の発現、Josephson結合の統一的な視点による理論を構築した。また、1次元Frohlich模型を解析し、パイエルス不安定性の出現機構を明らかにした。 これらの物理現象の背後に統一的な理論構造が存在していることを突き止めたことには意義があると思われる。今後は他の物理現象にもここで述べた手法を適用することにより、ここで提案した視点が多くの現象を記述できることを確かめる必要がある。作用素論的な観点からは、本研究はいくつかの作用素不等式の性質の解明に焦点があてられている。ここで明らにされた作用素不等式の多くがこれまでには明確に認識されておらず、数学的にも物理的にもいくつかの新しい発見(上述)があった。以上の結果は論文として纏め、Reviews in mathematical physicsに掲載されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に記載した初年度目標は概ね達成し、結果も論文として掲載されているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から鑑みて、次年度の研究推進方策に大きな変更の必要はないと考える。強いてあげるならば、より多くの具体例に取り組むことで理論をより豊富にすることである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では、ミュンヘン工科大学のH. Spohn教授との共同研究を予定しているために、海外滞在費が多く必要である。
|