2012 Fiscal Year Research-status Report
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23740128
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
下條 昌彦 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (40588779)
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Keywords | 非線形放物型方程式 / 平均曲率流 / 反応拡散方程式 / 爆発問題 / CLM方程式 |
Research Abstract |
非線形熱方程式、特に幾何学的な平均曲率流方程式のさまざまな特異点を解析するための漸近的手法を研究した. 昨年度に引き続き,Chang-Hong-Wu 准教授(国立台南大学)Jong-Shenq Guo教授(淡江大学),俣野博教授(東京大学)らと曲線の移流項付き平均曲率流の自由境界値問題について研究した.本年度は解の挙動の完全な分類に成功した.さらにそれらのその漸近挙動の問題を解決した.具体的には解が一点に縮む場合、無限に界面が広がる場合の二つのケース以外に、それらの解の境目に進行波に収束する解があり、この3つのケースですべての解のふるまいが尽くされることを示した.昨年度は前者二つの解の漸近挙動をスケーリングの手法により解析し,各々ある種の自己相似解へ収束することを示していた.その議論をより一般のデータを含む場合に一般化し、しかも短くて簡単な新しい証明を与えた.これが可能だったのは,先に述べた分類定理を完成させたことによる.最後の進行波への収束を扱うとき,解の交点数に関する新しい議論を構築した.この交点数の理論は従来のものより自由境界値問題において大変扱いやすい新しい理論であり,本研究においては漸近挙動のみならず,解の凸性,分類定理の証明でも本質的な役割を果たしている.また時間がたつと解のグラフがある意味で凸な関数になることについて議論した.本年度の前半中には論文を完成させ投稿・受理・掲載を目指している. また本年度は爆発問題の爆発点の制御に関する論文と流体方程式に関する論文が国際的な学術誌に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は爆発問題の爆発点の制御に関する論文と流体方程式に関する論文が学術誌に掲載された.前者の結果はユークリッド空間上でのものであるが,定義域が多様体上の場合はドリフト項が入った方程式を考察すれば良いまでが分かっている.一方,後者の流体方程式は藤田型の非線形放物型方程式の値域を複素化して得られる.これは値域を多様体上にもつ爆発問題に一般化できる.現段階では多様体上で解析するという従来の目的はまだ達成されていない.しかしながらこれらの結果はそれ自身で,国際的な学術誌に発表されて評価されており,今後の多様体上での解析学というプロジェクトにおいても重要なステップである.残り2年間の間にこの方面の研究成果を達成するよう努めていく次第である.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)また北海道大学では利根川吉廣教授と米田剛准教授のもとでNavierStokes方程式や平均曲率流方程式の正則性の解析に関する手法を勉強する機会を得た.そのときに習得した手法を他の多くの非線形問題に適用していくことで様々な問題が解析できると思われる.現在,北海道大学の利根川吉廣教授、米田剛准教授らと藤田型方程式の部分正則性に関する研究を行っている. (2)俣野博教授,Chang-Hong-Wu氏,Jong-Shenq Guo教授らと共同研究において一次元直線の上で移流項が付いた平均曲率流の自由境界値問題を考察し,解の挙動を分類した. 本年度は一次元ユークリッド空間上での曲率流の自由境界値問題考察した.この問題を高次元のユークリッド空間に一般化することを考察する.「多様体上に自由境界を持つ問題」という新たな問題を申請者に提示した.このような新しい問題も本研究課題の中に取り込みつつ,研究を発展させていく予定である.またこれまでの結果は解のサポートの連結成分が一つの場合しか考えていなかったが,連結成分が二つある場合のそれらの相互作用についてどのような弱解を導入するべきかは未解決である.この現象を調べていく予定である.さらにこれらを曲線や多様体の上を自由境界が動くような問題として発展させる予定である.例えば,自由境界を拘束する多様体の幾何学的情報が解の漸近挙動をどのように制御するのかを考察する.この問題についてはChang-Hong-Wu氏やJong-Shenq Guo氏、俣野博氏などとも緊密に連絡を取り合いながら遂行する. (3)多様体の上での藤田型方程式の研究を継続して行い,多様体の幾何的な構造と典型的な臨界指数との関係を考察する.また爆発点の制御問題や複素半線形熱方程式の問題の定義域または値域を多様体上に一般化した問題も考察する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
北海道で開かれるPacificRIMS研究集会(7月1日から7月5日)に参加するための費用 日本数学会の学会に参加するための旅費 SNP研究集会(2013)に参加する旅費 線形現象に現れるパターン形成の数理解析(期間:10月30日から11月1日) Chang-Hong Wu氏やJong-Shenq Guo氏と研究議論に台湾への出張費用
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