2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末原 大幹 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 特任研究員 (20508387)
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Keywords | ポジトロニウム / テラヘルツ / 共振器 / 超微細構造 |
Research Abstract |
本研究は電子と陽電子の束縛系であるポジトロニウムのオルソ-パラ準位差(超微細構造)を測定することで、束縛系QED(量子電磁力学)の精密検証を行い、素粒子標準理論を越えた現象を探ることを目標とする試みである。これまでポジトロニウム超微細構造は理論と実験の間にわずかにずれが見つかっているが、実験は間接測定しか行われておらず、直接測定を行う意義が高い。我々は直接測定を目指す実験を2008年に立ち上げ、これまでに超微細構造の中心値付近で遷移の兆候を確認していた。本研究期間では、この遷移のより確実な検証と、複数の周波数で遷移率を測定することによる超微細構造曲線の確認を目指した。 上記目標の達成のためには、より強く周波数可変なミリ波光源の開発やより多くのパワーを効率的に蓄えられる共振器が必要となった。ミリ波光源については、福井大学と共同でガウシアンモード変換機能を内蔵したジャイロトロンを開発することで、より多くのパワーを共振器に導けるようになった。このジャイロトロンは、中心部の共振器を換装でき、これにより複数周波数による測定に対応した。共振器については、ジャイロトロンの高いパワーに従来の石英基板上に蒸着した金メッシュ鏡では対応できない(溶けてしまう)ため、抜本的に改良する必要があった。一つの対策として、銅板グレーティングとリング共振器を用いたセットアップを考案し、実際に製作、テストを行った。より熱伝導率が高い高抵抗シリコン上に蒸着したメッシュも開発し、メッシュの周囲から銅パイプを介して水冷を行う機構を追加し、性能評価、冷却試験を行った。 高抵抗シリコン基板を用いたメッシュ共振器を用いてジャイロトロンを複数の周波数で運転し、遷移測定を行った。遷移中心では10シグマを越える遷移が確認でき、周辺では遷移確率が下がっており遷移曲線が確認できた。今後詳細な評価を進め、超微細構造の決定を行う。
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[Journal Article] The First Direct Observation of Positronium Hyperfine Splitting2012
Author(s)
T. Suehara, T. Yamazaki, A. Miyazaki, G. Akimoto, A. Ishida, T. Namba, S. Asai, T. Kobayashi, H. Saito, T. Idehara, I. Ogawa, S. Sabchevski
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Journal Title
AIP Conference Proceedings
Volume: 1441
Pages: 549-551
DOI
Peer Reviewed
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