2013 Fiscal Year Annual Research Report
神岡鉱山地下における原子核乾板を用いた中性子フラックスの測定
Project/Area Number |
23740185
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森島 邦博 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 研究員 (30377915)
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Keywords | 高速中性子 / 原子核乾板 / 感度制御 |
Research Abstract |
神岡鉱山などの地下実験施設における素粒子実験を行う上で、主要なバックグラウンドの1つとなる高速中性子フラックスの測定を目的とした原子核乾板を用いた測定技術の開発を進めてきた。 原子核乾板は、高速中性子による反跳陽子を3次元飛跡として検出することにより、その飛来方向やエネルギーの測定が可能である。しかし、同様にガンマ線による散乱電子の飛跡も記録する。特に、数MeV領域の中性子による反跳陽子の飛跡長は数ミクロンから数十ミクロン程度と短いため、ガンマ線起因の電子飛跡が主要なバックグラウンドとなる。このような電子飛跡との識別能力を向上させるため、原子核乾板の受光素子である硝酸銀結晶に電子トラップとして働くロジウムをドープして感度制御を行う事で、高いシグナルノイズ比で中性子起因の陽子飛跡を記録しつつ、ガンマ線起因の電子飛跡を記録しない原子核乾板の開発を行った。開発した原子核乾板の感度評価を電子に対してはガンマ線源Am-241線源を用い、中性子に対してはCf-252線源を用いて評価を行った。その結果、MeV中性子に対する感度を維持したまま、1平方センチあたり10の9乗のガンマ線バックグラウンド下での使用が可能となった。 更に、原研の核融合中性子源FNSを用いて2.8MeV中性子を開発した原子核乾板へ照射した。この飛跡を解析し、エネルギー分解能、及び検出効率の測定を行い、シミュレーションとの比較を行い両者とも良い一致を得た(エネルギー分解能は10%)。 現在、エネルギー測定精度向上のため、これまで開発してきたS-UTSとは異なる新しい認識アルゴリズムによる自動測定技術の開発も進めている。本研究において開発された原子核乾板を用いた高速中性子検出技術は、神岡鉱山やイタリア・グランサッソ研究所などにおける地下の高速中性子フラックス測定に用いる事が可能である。
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Research Products
(6 results)