2012 Fiscal Year Research-status Report
PoGOLite気球実験による「はくちょう座X-1」からの硬X線の偏光検出
Project/Area Number |
23740193
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 弘充 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10536775)
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Keywords | 宇宙物理 / 偏光観測 / シンチレータ結晶 / 宇宙線 / 中性子 / 地球大気 |
Research Abstract |
本研究では、我々が日米欧共同で開発・製作したPoGOLite検出器をもちいて「はくちょう座X-1」を観測し、ブラックホール連星系からX線偏光を検出することを目指している。測定される偏光度は、ブラックホール周辺の降着円盤で反射された放射成分の強度に比例すると予想され、従来のエネルギースペクトルや時間変動から得られる情報とは相補的に、ブラックホール近傍のジオメトリを明らかにすることができる。 スウェーデン・キルナにあるEsrange実験場からPoGOLite気球実験を放球するため、今年度も2012年6~7月に現地に滞在した。6月中に担当している検出器の動作検証を予定通りに終えることができ、その後は放球に適した天候を待ち続けたが、7月の1ヶ月間ずっと天候に恵まれず、今年度はPoGOLiteを放球することができなかった。この間に検出器を約1週間にわたって連続運転できることを実証し、また較正データを取得した。来年度2013年夏には次回のPoGOLiteフライトを実施することが決定しているため、この放球に向けて検出器は現在はEsrange実験場に保管されている。 X線偏光を検出する上で、我々の検出器にとっては大気中性子が主要なバックグラウンド源となっている。そこで上空での大気中性子を測定するため、熱中性子に高感度な検出器を製作した(PoGOLino検出器)。このPoGOLino検出器は、2013年3月20日にEsrange実験場から放球することができ、実際にスウェーデン上空30kmにおける大気中性子の計測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PoGOLite気球の放球を実施したかったが、今年度はあいにくの悪天候のため放球することができなかった。 検出器自体の準備は完了していることから、来年度こそは放球を成功裏に実施し、高感度な天体観測を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度こそはスウェーデンからPoGOLite気球の放球を実施したい。観測データから、ブラックホール連星系「はくちょう座X-1」からの硬X線帯域での偏光を検出し、ブラックホール周辺のジオメトリについて新たな物理情報を得たい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度のフライト前後でのスウェーデンでの滞在費に使用する。
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Research Products
(9 results)