2012 Fiscal Year Research-status Report
センターボーテックス描像による強相関クォークグルーオンプラズマの研究
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23740194
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
斎藤 卓也 高知大学, 教育研究部自然科学系, 助教 (50448023)
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Keywords | quantum chromodynamics / quark gluon plasma / quark confinement / toplogy on the lattice |
Research Abstract |
本研究の目的は、量子力学理論の位相欠陥であるセンターボーテックスを利用し強く相関するクォークグルーオンプラズマ(QGP)の物理を調査することである。平成24年度は、予定されていたテーマである「輸送係数とボーテックスの関係」の調査を行った。簡単化のためにSU(2)ゲージ理論での相関関数のプログラムを作成し、スパコン上(大阪大学RCNPのSX8とSX9)で数値計算を実際に実行した。10万個以上の統計データを必要とする数値シミュレーションであり、まだ確定的な結果は得られてはいないが、狙いどおり、非摂動論的な自由度を密接に関係するセンターボーテックスの影響を強く受けることが示唆された結果となっている。これにより、小さな粘性を持つQGPの性質は、非閉じ込め相においても、存在する何かしらの閉じ込めの残滓と関係することが示唆される。これは、センターボーテックスによる磁場方向の閉じ込めの性質を相まって、相転移温度を越えたQGP物質においても、磁場自由度は非摂動論的に扱う必要のあることを示している。 輸送係数の計算についての実施状況と最新の結果は、2012年10月にドイツで開催された国際会議「Quark Confinement and the Hadron Spectrum X」でポスター発表され、関係者から大きな注目を受けた。その内容には近く出版される会議録に掲載される予定である。また、2013年春の日本物理学会においても、企画講演の一つとして、申請者の発表が行われ、同内容の一部が公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度平成23年度研究計画であるグルーオン伝搬関数の調査については研究が終了し、論文や国内外の研究発表となり公表されている。 次年度平成24年度研究計画である輸送係数の数値実験も行われており、その一部は、国内外の研究会で発表されている。 引き続き輸送係数の調査を進めるとともに、平成25年度の研究計画にある状態方程式の計算プログラムも作成しており、予備的数値シミュレーションが進行中である。 これらのことにより、おおむね順調に研究は進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き輸送係数の計算を行い確定的な数値結果を出せるように、統計数の向上とスメアリング技術の適応を試みる。また、積分法に基づいた状態方程式のプログラム作成を行っており、ベクトル計算機上でのチューニング作業も終わり、テスト計算を行っている最中であり、1~2年のうちでの作業終結を目指す。さらには、相転移構造を端的に表すポリヤコフ期待値やカイラル対称性に関するパイオン相関関数の調査も予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定どおりデータ蓄積用のハードディスク購入と関連書籍等に研究費を使用する予定である。また研究発表や共同研究者との議論のため、予定どおりの出張旅費としても利用する予定である。
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