2011 Fiscal Year Research-status Report
グリーン関数法を用いた励起状態の高精度かつ大規模全電子第一原理計算手法の開発
Project/Area Number |
23740288
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 良史 東京大学, 物性研究所, 助教 (60450293)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 第一原理計算 / 全電子混合基底法 / GW計算 / Bethe-Salpeter方程式 / グリーン関数法 |
Research Abstract |
本研究では第一原理グリーン関数法の超大規模並列計算プログラム開発を主な目的としている。また研究計画最終年度には、そのプログラムを用いて実際に大規模系へ適用する予定である。一般的にMPI並列プログラムは逐次プログラムに比べてそのプログラムの構造はより複雑になることは避けられない。そのためにプログラムをMPI化する前にまず可能な限り単純化し、かつきちんと整理された逐次プログラムを準備することは、その後のMPI並列プログラム開発をより簡単にし、結果的にはプログラムの開発期間を短縮させることが可能になる。 研究計画初年度に当たるH23年度は、研究計画書に基づき全電子混合基底法の第一原理プログラムコードのスリム化と整理整頓を中心に行った。本プログラムは申請者が独自に開発を行ってきたFortranで書かれた6万行を超える第一原理計算プログラムである。プログラム構造を単純化するに当たっては、今後MPI化することを前提として、プログラム設計を見直し、多用する部分をモジュール化するなどの変更を行った。また重複する機能を持つサブルーチンを統一するなどのプログラムのスリム化も同時に行った。 またH23年度は実際に本プログラムを少数原子系((CdSe)3と(CdSe)6クラスター)に適応し、全電子GW+Bethe-Salpheter法を用いてその光吸収スペクトルを計算した。その結果は国際会議で発表し、現在論文に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画初年度のH23年度は、研究計画書に従い、次年度以降に行う予定の大規模並列プログラム開発のための準備期間として、プログラムコードのスリム化と整理整頓を徹底的に行った。その作業は予定通り完了し、並列化に向けた作業を開始できる準備が現段階で整っている。またそのプログラムを実際にCdSeクラスターに適応し、現状のプログラムの性能確認を行うとともに、CdSeクラスターの光吸収スペクトルを計算し議論した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画初年度にプログラムコードのスリム化と整理整頓を徹底的に行った結果、次年度以降に大規模並列計算用にプログラム開発を行うための準備はすでに整っている。研究計画書に従い、今後実際にプログラムコードをMPI化させていく予定である。これまでに並列化に関して詳細に検討をしてきた結果、プログラムの設計はすでに完了している。そのために今後はその設計書に忠実に従いプログラムコードを作成、修正を行っていく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大規模並列プログラムの開発には、ある程度の規模の並列計算が可能な並列計算機が必要である。また開発の過程では膨大な数のテスト計算も必要である。そのために全国共同利用施設に設置されているスーパーコンピュータを複数台申し込む予定である。その経費として年間およそ40万円必要になる。
|