2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740311
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中野 祐司 独立行政法人理化学研究所, 東原子分子物理研究室, 研究員 (20586036)
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Keywords | 原子分子物理 |
Research Abstract |
平成26年度に利用する予定であった,極低温イオン蓄積リングの開発が順調に進行したため,本研究も一部計画を変更し,平成25年度に予定していた分子イオンビームラインの開発を前倒しして行い,原子・分子共通ビームラインとして既にイオン蓄積リングへ接続した.これにより当初計画より早期に合流実験が行えるよう対応した.具体的な実績を以下に示す. 1. 電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源で生成した20keVの原子ビームを合流セクションまで輸送するためのビームラインを設計し,転送行列を用いたビーム軌道計算を行った. 2. 超高真空装置との接続に対応できるよう,ビームライン末端に作動排気セクションを設計し,排気系のセットアップを行った.ベーキング無しで作動排気部の真空度は10-10 Pa台に到達している. 3. 原子・分子共通ビームラインとして,複数のイオン源からビームを輸送できるよう,四重極型90度ディフレクターを設計し,有限要素法による電場解析を行った.また,実際にECRイオン源で生成したAr3+ビームを用いて動作テストを行った.現状では15keVビームの偏向まで成功しており,今後,放電対策をおこなって20keVビーム偏向に対応する予定である. 4. 中性ビーム生成と検出器のタイミングを制御するための信号回路を設計し,ファンクションジェネレータ等を外部制御するプログラムの作成を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績欄で示したように,計画を前倒しして原子・分子ビームライン開発を行い,研究全体としては当初計画より進行している.一方で,本年度はビームライン開発を優先して行ったために生成物アナライザの開発が計画より遅れており,来年度,最優先して進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画に沿ってビーム合流実験を行い,星間空間におけるイオン分子反応ダイナミクス解明を目指していく.また,理化学研究所で開発中の極低温イオン蓄積リングが当初計画以上に順調に進行しており,早期に極低温分子ビームの利用が可能となる見通しである, 研究計画では首都大学東京のイオン蓄積リングを用いて,室温でのテスト実験を行う予定であったが,これをスキップして早期に極低温分子との合流実験を行うことを目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は,研究計画の一部変更にともない,ビームラインの設計,組み上げ,テスト運転を優先して行ったため,生成物アナライザの製作時期を翌年度にずらした.このため予算の繰り越しが出ている.次年度は繰り越し予算を含めて生成物アナライザの製作,および周辺の測定機器の調達に研究費の大半を使用予定である.
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