2011 Fiscal Year Research-status Report
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23740324
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
福田 順一 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (90392654)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 液晶 / コレステリックブルー相 / キラリティ / 連続体シミュレーション / 電場 / 欠陥 / 溝 |
Research Abstract |
(1)コレステリックブルー相と呼ばれる複雑な相を示すキラル液晶を平行平板からなるセルに閉じ込めた系の連続体理論に基づくシミュレーションを行なった.ブルー相の周期構造を反映して平行平板間には周期的な力が働くこと,平行平板間に電場を印加するとその強さに応じて複雑な動的プロセスを経て液晶配向欠陥の構造が変化すること,セルにコロイド粒子を添加するとコロイド粒子が周期的な規則構造を形成するが,その位置が粒子の大きさに依存して変化しうることなどを明らかにした.(2)コレステリックブルー相が安定な温度範囲に,液晶の広がり,ねじれ,曲げのFrankの弾性定数がどのような影響を与えるかについて,過去の議論を拡張する試みを行なった.その結果,曲げの弾性定数を小さくすることがブルー相が安定な温度範囲を広くする最も有効な手段であることを,解析的な理論により明らかにした.この結果は,ブルー相の安定性について実験的に得られている結果を,ある程度定量的に説明するものである.(3)ネマチック液晶を三角関数のような断面を持つ直線状の溝に入れると,キラルな対称性が局所的に破れた,ねじれ配向とジグザグ状の欠陥からなる周期的な構造をとることが明らかになった.この事実に対して,配向構造についての簡単なモデルを考えることにより,理論的な説明を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要なテーマであるコレステリックブルー相について,電場応答などを含めて一定の成果を挙げつつある.またブルー相の安定性と弾性定数との関係,溝中の液晶における特異な構造形成など,計画当初に予期していなかった興味深い成果を得ることもできている.
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Strategy for Future Research Activity |
コレステリックブルー相については,引き続き電場応答などのシミュレーションを行なうとともに,その基礎応用に関する実験研究で先駆的かつ著しい成果を挙げている九州大学の菊池裕嗣教授と積極的な議論を行なうことで,新規の問題の発掘,探究に努める.またキラルスメクチック液晶については,種々の問題に最適な数値モデル化を行う.2012年6月に産総研に滞在予定のAbukhdeir博士との連携の可能性も模索する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シミュレーションに必須となる追加の計算機の購入,最低3件を予定している,外国で開催される国際会議の参加費と旅費,最低1件を予定している国内での会議の参加費と旅費,および論文の別刷り代などに使用する.
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Research Products
(27 results)