2012 Fiscal Year Research-status Report
新しい分子動力学シミュレーション手法の開発とタンパク質折りたたみ問題への応用
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23740325
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Research Institution | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
Principal Investigator |
奥村 久士 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 計算科学研究センター, 准教授 (80360337)
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Keywords | 分子動力学 / タンパク質 |
Research Abstract |
生体分子など複雑な自由エネルギー地形を持つ物質の分子動力学シミュレーションを素朴におこなうと、自由エネルギー極小状態にトラップされてしまい広い範囲の構造を探索できない。そこで近年、マルチカノニカル法やレプリカ交換法などの拡張アンサンブル法がよく用いられるようになってきた。 あるいはハミルトニアンレプリカ交換法では温度の代わりにポテンシャルエネルギーのパラメーターを交換する。そこで何を交換するパラメーターに設定するかが問題になる。2面角ポテンシャルエネルギーに新しい項を付け加えることによりαへリックスまたはβストランド構造を多く再現できるよう。そこで、このポテンシャルエネルギーに係数をかけ、その係数を交換する新しいハミルトニアンレプリカ交換法「αへリックス・βストランドレプリカ交換法」を昨年度、開発した。 今年度はこの方法をαへリックスとβヘアピン構造の両方をもつデザインペプチドの分子動力学シミュレーションに応用し、解析を進めた。RMSD(root mean square distance)を反応座標とした自由エネルギー曲面を計算した。自由エネルギー曲面における極小状態からデザインペプチドのフォールディング経路を明らかにした。また、温度を交換する通常のレプリカ交換法も実行し、比較したところ、αへリックス・βストランドレプリカ交換法の方が広い構造空間をサンプルし、より長いαへリックス構造やβヘアピン構造を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はへリックス・ストランドレプリカ交換分子動力学シミュレーションの解析を進めることができたので、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最近、レプリカ交換法に代わるレプリカ置換法という方法を考案した。この方法は従来のレプリカ交換法よりも強力なサンプリングを可能とするのでこれを導入する。またより大きいタンパク質のシミュレーションに取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
より大きな系のシミュレーションを行うのでコンピューターを購入する。シミュレーション結果を保存するためにハードディスクも購入する。学会で成果を発表するために国内外に出張する。
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Research Products
(9 results)