2013 Fiscal Year Annual Research Report
黒潮再循環変動特性の解明と大気大循環場への影響理解
Project/Area Number |
23740348
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 周作 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (50547320)
|
Keywords | 黒潮 / 亜熱帯モード水 / 気候変動 / 大気海洋相互作用 / Argoフロート / 四国沖 |
Research Abstract |
過去2年間の活動により,黒潮蛇行期に出現する四国沖再循環(直径約500km)内に,水温19度以上で特徴づけられる暖水塊(以下,四国沖暖水塊;約100mの層厚)が分布することがわかった.そこで,本年度は,この四国沖暖水塊の形成機構解明を目指した.まず,四国沖周辺のArgoフロート・船舶観測資料を収集し,暖水塊の時間変化を調べた.その結果,四国沖暖水塊は,冬季混合層内で形成されることがわかった.そこで,冬季混合層水温形成機構を調べた.まず,大気再解析資料を用い,北西季節風に伴う大気冷却の影響を検証した.相関解析等の統計手法を適用した結果,大気強制にはよらないことがわかった.そこで,船舶観測資料を用い,再循環流に伴う水平熱移流の影響に着目した.その結果,熱移流が冬季混合層水温の決定に寄与していることがわかった.さらに,簡単な数値実験を行った結果,再循環流変動に伴う海面水温分布が,直上大気への熱放出源になっていることがわかった.すなわち,これは,黒潮流路(蛇行・非蛇行)に伴う海洋構造変化が本州南方での気温鉛直構造に影響を及ぼすことを示唆した結果である.加えて,冬季再循環内の塩分変動の理解を目指した.資料解析の結果,塩分は,海流ではなく降水により決定されることがわかった.特に,暖候期の降水量が極めて重要であり,これは該当海域上を通過する温帯低気圧の数で説明されると指摘した.本結果は,日本周辺の気候メカニズム解明に資するものであり,上記内容は国際学術誌に掲載された(2編). また,上記手法を南半球に応用・展開した.その結果,南半球でも,再循環流により形成された海面水温偏差が,直上大気場への熱放出の要因であることがわかった.本研究は,先行研究がほとんど存在しない中で行われたものであり,得られた知見は南半球の大気海洋系の理解に資するものである.本成果は,国外で開催された学会で発表した.
|
Research Products
(5 results)