2012 Fiscal Year Annual Research Report
段階式発生プロセス仮説検証による台風発生メカニズム全容の解明
Project/Area Number |
23740350
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
筆保 弘徳 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (00435843)
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Keywords | 台風 / 台風発生プロセス |
Research Abstract |
台風発生プロセスは、半世紀以上にわたり最重要課題とされながら、台風研究だけでなく気象学全てにおいても最も解明されていないメカニズムの一つとされている。本研究代表者のこれまでの研究により、世界初となる全球雲解像モデルNICAMと大型計算機地球シミュレータによる全球高解像度数値シミュレーションを用いて、台風発生を導く内部プロセスが段階的に起きるという仮説を提案した。本研究は、2つの課題を設定し、提案した仮説の検証を行った。 仮説検証の課題1は、発生メカニズムの普遍性を示すことである。本研究では、NICAMによる2004年夏を対象とした全球高解像度数値シミュレーション結果を用いた。2004年6~8月に世界中で発生した台風は35個であり、同期間のシミュレーションでは23個の台風発生を再現していた。その複数の台風発生事例を解析したところ、提案した発生メカニズムとほぼ一致することを確認した。 仮説検証の課題2は、感度実験による発生メカニズムの定量化である。台風発生プロセスの後半は、渦中心における対流活発化に伴う非断熱加熱が2次循環の発生を促進し、台風構造の形成を導くと仮説を立てた。台風モデルTCM4を用いて、初期値や環境場に対する感度実験を行い、渦の発達変化を定量的に示した。計画していた回転水槽実験による感度実験は、本研究期間1年目では実験整備が行われたものの、2年目では実験装置の故障が発生し、感度実験は予定通りに進められなかった。 本研究の成果は、学会等で口頭発表を行っており、現在は国際科学雑誌への投稿を準備している。さらに、回転水槽実験による研究は、本研究期間内に結果を出すことはまにあわなかったが、現在も感度実験は順調に進められている。今後、その実験成果を整理して学会等で発表する予定である。
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Research Products
(10 results)