2011 Fiscal Year Research-status Report
大規模ブラソフシミュレーションによる宇宙プラズマのスケール間結合の研究
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23740367
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅田 隆行 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (40432215)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | プラズマ科学 / 計算機シミュレーション / 計算科学 / 第一原理 / 地球惑星科学 |
Research Abstract |
無衝突プラズマの運動論分布関数を記述するブラソフ方程式は移流(輸送)項及び回転流の項のみから成る。本研究ではこれまでの3次精度保存型・無振動スキームを4次精度に拡張し、超並列ブラソフコードに導入した。さらに、超並列ブラソフコードの性能評価を東京大学のHitachi HA8000、名古屋大学のFujitsu HX600とFX1、太陽地球環境研究所のDELL R815、九州大学のHitachi SR16000などの国内の主要なスカラ型スーパーコンピュータにおいて行った結果、4次精度手法の計算速度がこれまでの3次精度手法とほとんど変わらず、1,000以上のコアを用いた場合でも10%以上の実行効率と80%以上の並列効率を達成することを示した。太陽風と天体との相互作用に関する研究は、これまでは流体シミュレーションが主流であり、粒子シミュレーションは並列化の問題のために大規模計算には至っていない。本研究では超並列ブラソフコードを用いた天体規模のグローバルスケールのシミュレーションに世界で初めて成功した。本年度は、プラズマ風と磁場を持たない誘電性の天体との相互作用について研究を行い、天体後方に現れるウェイクと呼ばれるプラズマ密度が薄い領域の電場の構造と極性が惑星間空間磁場(IMF)に依存することを明らかにした。さらに、天体へのプラズマ粒子の帯電によって生じた電場が低密度領域では遮蔽されずに、対流電場として磁化プラズマをウェイク内に引き込む役割を果たすことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来のスキームの高精度化に成功し、それを用いて天体スケールのグローバルブラソフシミュレーションに世界に先駆けて成功した。また、弱い固有磁場を持った天体と太陽風との相互作用のシミュレーションも計算が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
4次精度手法の5次精度への拡張を試みるとともに、東京大学と九州大学に平成24年度に導入される超並列スーパーコンピュータ上でベンチマークテストを実施する。また、弱磁場天体と太陽風プラズマとの相互作用のシミュレーションやケルビン-ヘルムホルツ不安定性の大規模シミュレーションを継続し、データ解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Intel Sandy Bridge Dual Xeon搭載、大容量メモリ高速計算機(\984,900)を導入し、コード開発とデータ解析の高効率化を図る。研究協力者の深沢圭一郎(九州大学・助教)、成行泰裕(富山大学・准教授)らと、アルゴリズムの高精度化や超並列ベンチマークの打ち合わせを行う。研究協力者の大学院生と共に、国内外の学会において成果発表を行う。
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Research Products
(15 results)