2012 Fiscal Year Annual Research Report
光合成微生物を用いた光電変換システムのナノ構造とスピンダイナミクス
Project/Area Number |
23750002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松岡 秀人 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90414002)
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Keywords | 光合成タンパク / 電子移動経路 / 高周波ESR / 電流検出 |
Research Abstract |
光合成膜タンパクは、ナノレベルで制御された複数の分子間相互作用を利用することでエネルギー生産の根幹をなす機能を実現している。本研究の目的は、我々が所有する高時間分解高周波パルスESRを改良し、超高感度光検出ESR装置の開発と、光合成タンパクへの応用である。まず、非常に小さな高周波ESR共振器に適用可能な電極で挟んだセル型構造の試料作成を行った。モデル化合物として、人工の電子移動系(フラーレン誘導体と導電性高分子)を対象に試料作成を行った。ITO基板上に電子移動系の薄膜をスピンコートまたはディップコートなどのウェットプロセスで作成し、さらにその上にアルミ電極を真空蒸着によって形成した。基板のサイズは、低周波ESR共振器に挿入可能な1cm四方の試料サイズから、高周波共振器に挿入可能な幅1mm弱のものまで作成し、光照射による電流発生を確認した。続けて、電流検出ESR測定を可能とするよう、低周波ESRについては試料ホルダーの改良、高周波ESRでは共振器の改良を行った。今年度、モデル試料を用い、装置の性能評価を行っている。また、光合成試料を用いたデバイス作成について、生体試料の不安定性などに起因して、まだ測定に耐えうる状態には至っていないが、保護剤などの使用を検討しながら、作成法の改良を行いつつある。一方で、電子移動経路の二方向性については、高速ESR法と化学還元処理を併用した測定から、その妥当性を裏付ける実証の一部が得られたが、単一タンパク質内での双方向性なのか、個々のタンパクごとに経路が異なっていることによるものなのか(擬双方向性)明らかではない。今後、超高感度光検出ESR装置を用いた単分子測定から、その問題を明らかにしていく予定である。
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