2012 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲン化物イオンの酸化還元特性を利用する触媒的酸化カップリング反応の開発
Project/Area Number |
23750042
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
永野 高志 高知大学, 教育研究部自然科学系, 助教 (80500587)
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Keywords | グリーンケミストリー / 酸化反応 / CDC反応 / カップリング反応 / ハロゲン |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ハロゲン化物イオンを触媒として用いる酸化カップリング反応と、それに関連する酸化的変換反応について研究を行った。24年度に得られた成果は大きく以下の通りである。 1、ヨウ化物イオン触媒を用いて酸化的な炭素―炭素結合形成反応が進行することを見出し、報告した。すなわち、N-アリールエナミン誘導体に対し、触媒量のヨウ化テトラブチルアンモニウム存在下、酸化剤としてt-ブチルヒドロペルオキシドを作用させることにより、分子内で脱水素型の炭素―炭素結合形成反応が進行し、インドール誘導体を高収率で与えるというものである。この報告は、ハロゲン化物イオン触媒が酸化的な炭素―炭素結合形成反応にも活用できることを示した極めてまれな報告例である(これまでの報告例は炭素―酸素や炭素―窒素結合形成反応がほとんどである)。成果は Eur. J. Org. Chem.に発表した。 2、新たな試みとして、酸化カップリング以外にアルコールの酸化反応についても検討し、興味深い知見を得た。すなわち、二級のベンジルアルコール類からケトンへの酸化反応が触媒量の臭化ナトリウム存在下、過酸化水素水を酸化剤として進行することを見出した。また本反応系は2級アルコールに高い選択性を有することも明らかとなった。成果は日本化学会年会において発表し、論文を執筆中である。 3、また、アルコールの酸化だけでなく、アリールアルカンからケトンへの直接的ベンジル位酸化反応についても検討した。現在のところ、基質がジアリールメタン誘導体に限られるが、先ほどと同じく安価な臭化ナトリウムを触媒として、対応するケトンへの直接酸化反応が進行することを見出した。成果は日本化学会年会において発表した。 2年間の研究期間で、ハロゲン化物イオン触媒が様々な酸化的変換反応に応用できることを見出し、今後の研究展開の基礎となる貴重なデータを得ることができた。
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