2012 Fiscal Year Research-status Report
金属イオンを指標とする糖質加水分解酵素の酵素活性高速分析法の開発
Project/Area Number |
23750075
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
高貝 慶隆 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70399773)
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Keywords | 分析化学 / 酵素分析 / セルラーゼ / セルロース / ICP / ICP-MS / 原子吸光光度分析 |
Research Abstract |
酵素分解反応における代謝物の解明するために,酵素反応によって溶液中に放出された金属元素を含む化学種を液体クロマトグラフ-飛行時間型質量分析計(LC-TOF/MS)を用いて特定した。セルラーゼの一般的な総活性測定は,最終生成物のグルコース量を計測するため,従来は1,4-β-グルコシダーゼの量と活性に依存する測定法であった。しかし,本システムでの指標物質は,溶液中に可溶した銅イオンを含む化学種であるため,単糖よりも多糖類(2~6糖)として放出されていること意味する。これまでにエンドグルカナーゼとセロビオヒドロラーゼを同時に識別できる分析方法は無く,本研究では反応時間の設定で各酵素を分別定量できることが示唆された。しかし,そのためには,セルロースの結晶度が大きく起因することも分かった。エンドグルカナーゼとエキソグルカナーゼは自然界の糖化現象の基礎となる酵素であるため,本法は自然科学における様々な糖化現象の機構解明に寄与できることがわかった。さらに,種々のセルラーゼを用いた酵素活性測定と既存法との相関性を求めた。複数のセルラーゼの活性測定ならびにミカエル-メンテン定数(Km)の測定を行い,測定値と既存法による値との間で相関性を検討し,相関グラフを完成させた。また,Kmはミカエル-メンテン式に基づき,Linewaver-Burk式に従って計算した。その際,p-ニトロフェノール-吸光光度法による従来法との比較が必要であったが,酵素中に含まれる糖分を除去(透析)する必要があったため,外部委託で透析を行い,従来法との比較をおこなった。 また,これらの知見を展開して,新しい金属フタロシアニン-セルロースの合成や金属フタロシアニンの速度論を使用した新しい分析手法への応用にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した計画通りに概ね進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
特許申請の事前打ち合わせにて時間がかかり,平成25年度まで延長申請を行った。そのため,平成24年度に計画していた成果発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特許申請の事前打ち合わせにて時間がかかり,平成25年度まで延長申請を行った。そのため,平成24年度に計画していた成果発表に関する諸費用(旅費等)に研究費を充てる。この成果発表に関する諸費用は予め計画・申請してあったものである。
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