2012 Fiscal Year Annual Research Report
連続的マイクロフロー反応の開発及び多段プロセスへの展開
Project/Area Number |
23750099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 雅晴 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80361509)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / マイクロ・ナノデバイス / 連続プロセス |
Research Abstract |
有機合成反応において触媒を固定化し反応を不均一系とすることは、触媒の回収・再利用を可能にするため非常に有意義であると言える。また、固定化触媒を用いたフロー合成は、バッチでの反応と比べ温度などの反応条件の制御がし易く、反応器のスペースの観点から反応のスケールアップが容易であるなど、大量合成においても有用な手法である。一方、現代の有機合成化学において、より環境に配慮したクリーンな反応系が求められており、人体に無害な水を溶媒として用いることは、究極的な環境調和型プロセスの開発に繋がる。本研究課題は、金属触媒や配位子を表面に担持した高機能微小空間内において、水を溶媒として用いることにより、高効率かつ環境調和型連続生産反応の開発を行うことを目指している。 平成24年度は筆者らの開発した触媒系をフローシステムに展開し、連続的な生産プロセスの検証を行なった。ごく最近、筆者らは水酸化亜鉛を触媒とした水系溶媒中でのα選択的アリル化反応を報告している。本反応では、ホウ素から亜鉛へのトランスメタル化によりアリル亜鉛種が生成する。ここで、亜鉛を固定化することで、バッチ反応において触媒の回収・再利用が可能となるばかりか、フロー合成へも展開が可能となる。 触媒である水酸化亜鉛をシリカゲル上に固定化し、アルデヒドとアリルホウ素試薬を基質として用いた水系溶媒中でのアリル化反応を検討したところ、バッチ反応において触媒の回収・再利用、また亜鉛種の漏出の抑制に成功した。さらに合成した固定化水酸化亜鉛を用いて、フロー合成によって連続的にアリル化反応を行ったところ、24時間の連続運転において、バッチ反応と遜色の無い反応性および選択性を示ることを実証した。
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Research Products
(9 results)