2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23760005
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
後藤 民浩 群馬大学, 理工学研究院, 准教授 (10311523)
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Keywords | 硫化物半導体 / 硫化すず / バンドギャップ / 光吸収係数 / 太陽電池材料 / 硫化プロセス / ゼーベック係数 / ギャップ内準位 |
Research Abstract |
平成25年度は太陽電池光吸収層として適した特性をもつ硫化すず(SnS)薄膜の高品質化を目指し、薄膜形成後の硫黄ガス熱処理を中心に研究を行なった。出発原料の作製手順として、反応容器にすず粉末と硫黄粉末を封入し、硫黄蒸気雰囲気下でSnS粉末を形成する。得られたSnS粉末を真空蒸着することでSnS薄膜を作製した。平成24年度の研究結果より、作製したSnS薄膜には高密度の欠陥準位が存在することがわかっている。そこで欠陥密度の低減を目指し、硫黄ガス熱処理を行なった。 種々の条件で硫黄ガス熱処理を施した試料について、分光透過率、ラマン分光、電気伝導、熱起電力、サブギャップ光吸収の各種測定を行ない、光学バンドギャップ、電気抵抗率、多数キャリアなどの基礎物性を調査した。熱起電力の測定から硫黄ガス熱処理によりゼーベック係数が減少する傾向を見出した。ゼーベック係数の絶対値の減少はキャリア密度の増加に対応する。電気抵抗率の変化とあわせて考察すると、硫黄ガス熱処理によりキャリア濃度が増加した可能性がある。硫黄ガス熱処理と真空中熱処理では電気的性質が異なる傾向を示すことから、結晶化と硫黄組成の変化がキャリア特性に大きな影響を与えることがわかった。熱処理および硫黄ガス熱処理を組み合わせることでキャリア特性を制御でき、太陽電池の光吸収層として適した薄膜の形成が可能である。
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