2012 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁性ナノ構造の発光特性評価に適したカソードルミネッセンス顕微分光法の開発
Project/Area Number |
23760022
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡辺 健太郎 筑波大学, 数理物質系, 研究員 (40582078)
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Keywords | 低速電子線 / 走査電子顕微鏡 / カソードルミネッセンス |
Research Abstract |
SEMカソードルミネッセンス(CL)法は、サブμ空間分解能から半導体ナノ構造内部の発光分布評価は困難である。半絶縁性ワイドギャップ材料の場合、試料表面の帯電が観察を更に困難にする。1keV程度の低速電子線は、(1)電子線侵入深さが10nm程度である、(2)試料表面の二次電子放出速度が大きく、一次電子入射速度との平衡が取れて帯電を抑制できる、ことから高空間分解能CL評価に有効である。しかし、一般に電子光学系の収束性は低速電子線では悪くなる。本研究では、電子線侵入深さおよび電子線径がいずれも10nm以下の低速電子線を実現し、半絶縁性ナノ構造のCL評価を10nm程度の高空間分解能で行うことを目的とした。 1.平成23年度 SEM鏡筒を通った高速電子線が減速するような電場(減速場)を形成すれば、径の小さな低速電子線が得られる。楕円面CL集光ミラー‐試料間に減速場を設け、二次電子像のぼけを調べた。結果、減速場電極電圧0.1kVでは像のぼけは見られなかったが、1kVで放電が生じた。そこで電極用マイクロマニピュレーターをCL装置に導入し、エッジ部への電界集中による放電を避けるため、減速場電極を平行平板にした。また、様々な半絶縁性ナノ構造に対し、導電膜無しで低速電子線CL評価を行った。加速電圧の微調により無帯電評価ができた。 2.平成24年度 可動型平板電極を用いて減速場印加を行ったが、電極電圧1kV程度で放電が生じ、耐放電性は改善出来なかった。成果獲得のため、マイクロマニピュレーター上のナノプローブの諸機能と、低速電子線CL評価との融合を試みた。半絶縁性ZnOナノロッドについて、サンプリング後のFIB断面CL像コントラストから、m面/+c面成長領域を見分けられた。ナノプローブの曲げ応力印加により、引張歪下ではCLピーク位置がレッドシフトし、バンドギャップが小さくなることが分かった。
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