2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760025
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米谷 玲皇 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90466780)
|
Keywords | ナノメカニクス / プラズモニクス / 超薄膜 / 集束イオンビーム / ナノ機械振動子 / NEMS / 波長計測 / 光通信 |
Research Abstract |
本研究目的であるナノメカニカル振動子による高分解能な光波長計測に向け、その鍵となる振動子高Q値化手法の確立と振動子上に配置するプラズモニック構造の光波長に対する高感度化の研究を進め、波長計測の高分解能化を行った。 ナノメカニカル振動子の高Q値化手法については、特に、素子化に向けた振動の電気的検出を念頭におき研究を進めた。振動子の構造材料としては、グラフェンを用いた。結果として、レジスト(HSQ)/金属(Au/Cr電極)の2層構造を振動子固定端に配置,そのアンダーカット部を熱処理により屈曲させ振動子に歪を与える方法を考案し、電気的振動検出が可能な振動子構造での振動子の高Q値化を達成した。得られた最高Q値は10411であり、本年度考案した手法により、振動子の一層の高Q化(昨年度Q値:約7000)を行えることを確認した。 光波長計測については、振動子上に配置するプラズモニック構造をU-shaped cavity構造とすることにより、光波長に対する高感度化を試みた。U-shaped cavity構造の特徴は、形状・材質により共鳴波長範囲を任意に設計できること,反射率をほぼ0%まで制御できることである。本研究では、Au/DLC2層構造からなるU-shaped cavityを組み込んだメカニカル振動子を作製した。結果として、その波長計測分解能は、2.2 pmであった。昨年試作したブルズアイ構造を活用した場合の波長計測分解能が24pmであったことと比較し、本構造を活用することによりおよそ10倍の高分解能化を達成した。 以上により、本研究により獲得した知見・技術は、ナノメカニカル素子を活用したpm分解能の波長計測素子作製の基盤となるものであり、本研究目的の光通信技術への応用に加え、分光器など先端科学計測機器の高度化に貢献するものと考えられる。
|