2011 Fiscal Year Research-status Report
多入力圧電繊維アクチュエータを用いたスマート複合材構造の損傷モニタリング
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23760094
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
亀山 正樹 信州大学, 工学部, 准教授 (30302178)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ヘルスモニタリング / ラム波 / 金属コア入り圧電繊維 / 圧電繊維アクチュエータ / 損傷同定 / フェイズドアレイ技術 / 波伝播特性解析 / 複合材料 |
Research Abstract |
初めに、多入力圧電アクチュエータ素子としての金属コア入り圧電ファイバ/導電性エポキシ樹脂複合材料の試作を行うとともに、同複合材料、およびそれを模擬した複数の圧電繊維複合体(MFC)を用いて低剛性の平板を対象とした励振実験を行い、提案する損傷モニタリングシステムで用いる圧電アクチュエータ素子の作製方法、およびアクチュエーション機能の検証を行った。次に、無損傷のアルミニウム合金平板を対象として、平板表面に貼付した複数の圧電アクチュエータ素子に同位相のサインバースト波電圧を印加して発生させたラム波の伝播特性について、数値シミュレーション、および実験による検討を行った。特に、実験結果を通じて、素子間の個体差、アクチュエータ・センサの配置誤差、等が生成したラム波の伝播特性におよぼす影響が大きく、提案する損傷モニタリングシステムの構築におけるより高精度なキャリブレーションの必要性が確認できた。また、指向性を有するラム波の進行方向を電子的にステアリングすることを目的としたフェイズドアレイ技術の適用による損傷同定の効率化・高精度化の可能性を検討するために、貫通き裂を有するアルミニウム合金平板を対象として、平板表面に貼付したMFCアクチュエータとPZT圧電センサを用いたラム波の送受信に関する数値シミュレーションを行った。数値計算結果を通じて、MFCの繊維方向、すなわち指向性を有するラム波の進行方向とき裂の位置がき裂からの反射波の特性に大きな影響をおよぼし、損傷からの反射波を用いた損傷同定において有用な情報となり得ることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、圧電アクチュエータ・センサを備えた構造物のアクティブセンシングによる損傷モニタリング技術に着目し、ラム波伝播特性に基づく構造物の運用中の健全性評価技術に対してフェイズドアレイ技術を適用することにより、損傷モニタリングシステムの効率化・高精度化を実現することを目的としている。平成23年度計画のうち、多入力圧電アクチュエータ素子としての金属コア入り圧電ファイバ/導電性エポキシ樹脂複合材料の作製については、試作を通じて素子の作製方法の検証を行い、加工・成型等における問題点の抽出が概ねできている。また、平板を対象とした励振実験による、圧電アクチュエータ素子のアクチュエーション機能(低周波数帯域,数十Hz程度)の検証についても、同複合材料、およびそれを模擬した複数の圧電繊維複合体(MFC)を用いてアクチュエーション機能の検証を行い、提案する圧電アクチュエータ素子の有用性を明らかにしている。一方、次年度計画のうち、アルミニウム合金平板を対象としたラム波伝播シミュレーションによるフェイズドアレイ技術の有効性の検証、ラム波発信実験による圧電アクチュエータ素子のアクチュエーション機能(高周波数帯域,数十kHz程度)、およびフェイズドアレイ技術の有効性の検証については、既に段階的な検討を開始している。以上より、現在までにおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
アルミニウム合金平板、CFRP積層板を対象として、pseudospectral Mindlin板要素を用いた有限要素解析に基づくラム波伝播シミュレーションによるフェイズドアレイ技術の有効性の検証、ラム波発信実験による圧電アクチュエータ素子のアクチュエーション機能、およびフェイズドアレイ技術の有効性の検証を継続して行う。数値シミュレーションと実験の両面から検討を行い、提案する損傷モニタリングシステムの有効性を詳細に検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画で見込んだよりも安価に研究を進めてきたために次年度使用額が生じた。次年度の研究遂行に関連して、ラム波発信実験によるフェイズドアレイ技術の有効性の検証を目的とした圧電アクチュエータ駆動用アンプ、圧電セラミック振動子(センサ・アクチュエータとして使用)の購入を行う。ここで、圧電アクチュエータ駆動用アンプの購入は、「研究実績の概要」に示すように、提案する損傷モニタリングシステムの構築に必要とされる高精度なキャリブレーションの実現を目的としている。さらに、損傷検出の対象となるアルミニウム合金平板試験片、CFRP積層板試験片の購入を行う。
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Research Products
(1 results)