2011 Fiscal Year Research-status Report
異元素置換・欠損導入による固体高分子形燃料電池カソード用金属酸化物触媒の高性能化
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23760185
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
千坂 光陽 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20513310)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 非白金触媒 / カソード / 酸素還元反応 |
Research Abstract |
2011年度は固体高分子形燃料電池におけるカソード触媒として、研究代表者らが近年開発したハフニウム酸窒化物担持カーボン(HfOxNy-C)触媒の活性点・反応機構解明に注力した。特にアルゴン・水素混合ガス中で熱処理することにより、酸素欠損を導入し、HfOxNy-C触媒の酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction, ORR)活性が酸素欠損と窒素の置換導入のいずれに起因するかを重点的に探索した。また、複数の合成ルートを検討し、ORR活性向上の指針を得た。おもな知見は以下の2点である。1.窒素フリー且つ酸素欠損を有するHfOx-C触媒における単斜晶HfOx相が活性を有することが初めてわかった。しかしながら窒素を置換導入することでより高活性なサイトが形成され、その表面では主に酸素が水に直接変換される四電子反応(O2 + 4H+ + 4e → 2H2O)が支配的であることが解明された。HfOxNy-C触媒のORR活性を最大化するには、窒素原子が必要不可欠であることがわかった。2.三種類の含浸法ならびに一種類の錯体重合法を用いて合成した、いずれの触媒においてもナノメートルオーダーのHfOxNy粒子が担持された。しかしながら粒子サイズ、均一性ならびに結晶化度は熱処理温度や時間などの合成条件よりも合成ルートに依存した。Hf2ON2相の結晶化度の増加によりORR活性は増加することがわかった。硝酸中で還流したCと水の分散液中で四塩化ハフニウムを加水分解させることを利用した含浸法により、(1)約2-3 nm程度の最も小さくかつ均一な粒子径を有し、(2)立方晶Hf2ON2相の結晶化度が最も高く、(3)最高レベルのORR活性ならびに電流値を示すHfOxNy-Cが得られた。以上より、Hf2ON2相の結晶化度を向上させることが本触媒のORR活性向上に必要不可欠であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の熱処理工程を組み合わせることで、HfOxNy-C触媒におけるORR活性発現の原因が、置換導入された窒素か、熱処理時にアンモニアを用いているため還元雰囲気で導入された酸素欠損であるか切り分けることに成功した。さらにその反応機構も精査し、ORR活性向上の指針が得られており、概ね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
窒素原子の置換導入がHfOxNy-C触媒のORR活性向上に必要不可欠であるという2011年度の知見を利用し、窒素フリーのHfOx-C触媒ではなく、窒素が置換導入されているHfOxNy-C触媒におけるHfサイトに異種金属元素Mを置換導入する。MOxNyのORR活性ならびに各種物理・化学特性と比較検討し、Mの置換導入効果を明確化するとともに、HfMOxNy-CにおけるMの置換導入量最適化を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
触媒合成実験ならびに触媒のORR活性評価実験のための物品購入に、費用の大半を充てる。また、成果発信を目的とした対外発表のための旅費にも費用の一部を使用する。
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