2012 Fiscal Year Annual Research Report
実用性能を有する高出力球面誘導モータの開発と一球車輪型全方向移動車いすへの応用
Project/Area Number |
23760234
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
熊谷 正朗 東北学院大学, 工学部, 准教授 (70323045)
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Keywords | 球面誘導モータ / 球面モータ / 誘導モータ / ベクトル制御 / 球面アクチュエータ / 角速度制御 / 球面運動計測 / マウスセンサ |
Research Abstract |
本年度は、本研究の二つの大きな目的である「球面誘導モータの開発」と「車いす型乗機」の開発のうち前者で明確な成果が得られた。開発したモータは、(1)3軸方向に制限のない自由な回転、(2)出力トルク5Nm(表面推力換算40N)、(3)回転速度90rpm(周速1.1m/s、制御時、センサの制約による) 300rpm(単純回転時)、(4)トルク応答時間10ms未満 を達成し、実用的な性能を実現した。また、3軸方向のトルクを同時に指令値通り出力可能かを6軸力覚センサを用いて検証し、非回転状態(ストールトルク)では多軸のトルク制御と直線性を確認した。当初より制御性を重視した開発をしており、他の球面アクチュエータ研究では言及のまれな成果である。 一方、後者の「車いす型乗機」については、計画と異なり、今年度は開発を保留した。上述のモータの性能で十分実現可能とみられるが、二つの制約が残っている。一つ目は電力供給である。本モータは現時点では効率が悪く、駆動にはピークで1kWの電力(低出力時で200W程度)を消費し、これを供給可能な二次電池系電源の開発が必要となった。リチウムイオン系の電池が妥当と考え、検討しているが、開発を完了していない。二つ目は実験装置の予備機の問題である。この実験時には転倒による衝撃などに起因する不具合を生じる可能性が高いため、予備機を用意できるまでは、現有機によるさらなる特性検証を優先すべきと考えた。(※コイルなどや制御回路などをほぼ手作りをしているため、予備機の準備には時間的制約があった) 本課題では実用性能を有する球面モータの開発という点では成果を得ており、引き続き、回転中の動的性能を検証する研究、性能の向上に関する研究を進める。本課題中に保留したバランス制御と車いす型の実証については、その過程で合わせて実施したい。
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