2011 Fiscal Year Research-status Report
低コスト超高効率化合物半導体/シリコンハイブリッドタンデム太陽電池の開発
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23760303
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 克明 東京大学, ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構, 特任准教授 (60548650)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | シリコン / GaAs / ウェハ融着 / 化合物半導体 |
Research Abstract |
GaAsウェハとSiウェハの直接融着の実験を行った。500 oCにて融着したものを含む全てのp-GaAs/p+-Siおよびp-GaAs/n+-Siペアにおいて、オーミックではない屈曲したI-V特性が見られた。これに対し、p+-GaAs/p+-Siおよびp+-GaAs/n+-Siペアについては300 oCでの融着でも直線的でオーミックなI-V曲線が得られた。この融着界面の電気特性の違いを解明するために、GaAs/Siヘテロ接合におけるバンド端接続の計算を行ったところ、p型/p型接合においては、GaAs中のドープ濃度を縮退半導体程度にまで増大させることにより、価電子帯端の障壁が薄くなることが分かった。一方、p型/n型接合においては、同様のGaAs中ドープ濃度の増大によってトンネル接合が形成されていることが分かった。これらの効果により、p+-GaAs/p+-Siおよびp+-GaAs/n+-Siペアでは導電性が向上しオーミック接合が得られたと考えられる。本検討で作製された世界初となるオーミックGaAs/Siヘテロ接合は、電気的・光学的両方の結合を可能にし、次世代の高性能III-V/Siハイブリッド光電子素子の開発に有効である。 作製したp+-GaAs/p+-Si試料の接合界面の断面透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行ったところ、格子像から数ミクロン域の低倍率像に至るまで、格子不整合系のヘテロエピタキシャル成長に見られるような貫通転位は全く観測されなかった。GaAs/Si接合界面近傍の電子線回折像からは、接合界面直近のGaAs、Siそれぞれの領域が、もとのバルク基板と同じ単結晶に保たれていることが分かった。これらのTEM観察結果から、我々の融着法は、GaAs、Si両材料に結晶の劣化のない理想的なヘテロ接合形成技術であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は、多接合太陽電池の作製に適したIII-V/Si界面の形成であり、それを達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に開発した低抵抗ウェハ融着GaAs/Si界面を利用し、AlGaAs/Si二接合太陽電池の作製と評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に太陽電池の作製に必要となる材料(蒸着材、ウェハなど)の費用に使用する予定である。必要に応じ、評価のための測定に必要な物品の購入も行う。
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