2011 Fiscal Year Research-status Report
移動体群ネットワークにおける移動・無線通信制御に関する研究
Project/Area Number |
23760350
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
四方 博之 関西大学, システム理工学部, 准教授 (00510124)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 通信方式 / モバイルセンサネットワーク / モバイルメッシュネットワーク |
Research Abstract |
本年度は、ロボットに搭載した無線ルーターが自律的に移動しメッシュバックボーンを構成する際に、ゲートウェイへの経路を確保しつつ、通信提供エリア(カバレッジ)を最大化する群移動制御アルゴリズムの検討を行った。さらに、提案移動制御アルゴリズムにより配置したメッシュネットワーク内に接続端末を配置した場合に、各端末の通信性能を向上するための移動・無線通信パラメータ制御の検討を行った。これらの検討により、モバイルメッシュネットワーク構築に重要な役割を果たす基本アルゴリズムの設計を完了した。また、提案アルゴリズムについて、理論及びシミュレーションによる評価だけでなく、ロボットプラットフォームを用いた実機実験によっても評価を行った。これにより、提案アルゴリズムの実用性を証明するとともに、今後の検討の基礎となる実験環境を構築することができた。また、メッシュルーターの小型化も行い、これまで、ノートPCで実現していた通信機能を、商用の小型メッシュルーターを用いて実現することで、ロボットの移動性の飛躍的な向上を実現した。提案移動制御アルゴリズムを用いる場合には、各ルーターにおける無線信号の受信信号強度(RSSI)が必要となるため、導入したメッシュルーターにおけるRSSI取得法及び取得したRSSI特性について、詳細な検討を行い、導入メッシュルーターに適した移動制御アルゴリズムの提案も行った。さらに、導入メッシュルーターの通信性能、特に受信信号電力に対する無線通信データ特性について、電波暗室における詳細な評価を行い、この評価結果を反映した移動制御アルゴリズムを提案した。以上、本年度の研究は研究実施計画通りに進捗し、研究の目的として挙げていた通信性能を考慮した移動制御によるユーザQoSの向上及び群制御と無線通信性能の相互作用の明確化を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、本研究の目的である、(1)自律的に無線ネットワークインフラを構築する移動無線ルーター(移動機能付き無線通信基地局)群の通信性能を考慮した移動制御技術の確立とその効果の明確化は達成できたと言える。もう一つの目的である(2)形状、構成個体数、接続状態などを確保しながら移動する群の移動制御と無線通信性能の間に存在する相互作用の明確化、については、構成個体数と接続状態を確保した移動制御における相互作用の明確化が完了した。これら2点については、23年度に計画していた目的であり、計画通りにその目的を達成できたと言える。また、メッシュルーターとロボットを用いたロボットプラットフォーム構築も順調に進展し、ノートPCを用いて実現する計画を立てていたメッシュルーターを、より小型な商用無線メッシュルーターに置き換えることで小型化も実現した。以上より、本年度の研究は、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、23年度に検討したアルゴリズムの評価を行うための実験の大規模化、評価結果のアルゴリズム設計へのフィードバック、アルゴリズムの改良を行う。また、無線通信性能を考慮した群移動制御アルゴリズムの開発と移動制御に適した評価指標による性能評価を行う。本検討では、モバイルセンサネットワークや自動車群の自動運転への応用を見据え、複数の移動体が一つの群を維持しながら移動を行うための群移動制御に関して検討を行う。特に、移動体間の通信を担う無線通信の性能を考慮した移動制御アルゴリズムを検討する。移動制御アルゴリズムの評価を計算機シミュレーションにより行い、この評価結果及び前年度の研究で明らかになっている移動や端末密度と通信性能の関係を基に、通信性能を考慮した群移動制御アルゴリズムを提案する。そして、新たな評価尺度の定義及びそれを用いた評価を行う。本検討においても、無線通信には前年度導入したメッシュルーターによる通信(IEEE 802.11)を使用し、理論、シミュレーション評価に加え、ロボットプラットフォームを用いた実験(規模は10台程度)を行う。これらの無線通信性能を考慮した移動制御に関する検討で得られた結果をまとめ、成果発表を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の基礎ロボットプラットフォーム作成にあたり、当初予定していたノートPCではなく、小型の無線メッシュルータを購入・使用した。これに伴い、当初の予算計画よりも少ない予算でプラットフォーム構築が可能となり、繰越金178,926円が発生した。この繰越金と、当初計画した次年度の予算110万円の総額が次年度の研究費となる。次年度は、ロボットプラットフォームを用いた実験の大規模化を行う予定である。このため、ロボットプラットフォーム構築に必要なロボット及びメッシュルーターを追加で購入する予定である。プラットフォーム駆動に必要なバッテリー及びケーブル類を併せて、この大規模化に70万円弱程度必要となる。また、研究成果の発表及び関連研究動向調査のため、国内学会及び国際会議への参加を予定している。このため、国内出張及び海外出張旅費として、50万円程度の支出を予定している。また、実験及びシミュレーション活動に従事した学生に対する謝金として、10万円程度の支出を予定している。
|