2012 Fiscal Year Research-status Report
移動体群ネットワークにおける移動・無線通信制御に関する研究
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23760350
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
四方 博之 関西大学, システム理工学部, 准教授 (00510124)
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Keywords | 無線通信 / 群れ制御 / 無線LAN / メッシュネットワーク |
Research Abstract |
ノード初期配置のための移動制御アルゴリズムの詳細評価、通信性能を考慮したノード移動制御アルゴリズムの提案及び群れ制御アルゴリズムの評価を行った。 群れ制御アルゴリズムの評価では、モバイルセンサネットワークや自動車群の自動運転への応用を見据え、複数の移動体が一つの群を維持しながら移動を行うための群移動制御に関して検討を行った。特に、移動体間の通信を担う無線通信及び移動体間の非同期性を考慮した評価を行った。具体的には、ロボティクス分野で提案されているフロッキングアルゴリズムに対して、通信範囲の制限及び同期ずれを与え、それらが、移動制御の性能に及ぼす影響について群れ制御の観点から評価を行った。 また、モバイルメッシュネットワークユーザの通信品質を改善するためのノード移動制御アルゴリズムを提案した。提案アルゴリズムでは、移動制御と通信品質の相互作用を考慮しながら移動の可否や方向を決定する。本検討では、無線通信にIEEE 802.11を使用したロボットプラットフォームを用いた実験を行った。実験では、各ノードが、接続しているユーザの通信品質をリアルタイムで監視し、品質が劣化したユーザに対してノードが移動することで、通信品質が改善されることを確認した。 ノード初期配置のための移動制御アルゴリズムについては、ネットワークカバレッジを拡大するための改良を行った。配置条件として、隣接ノードとの最短距離を加えることで、配置されるノード間の距離が近づきすぎることを防ぐ事を可能にした。また、802.11無線LANのデータ伝送速度と受信信号強度の関係を実験により求め、このデータを移動制御アルゴリズムに取り入れた。大規模化したシミュレーションにより、提案方式の効果を確認した。 以上のように、本年度は、移動制御と通信性能との関係の明確化及び提案アルゴリズムへの反映を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、ロボットなどの移動体により構成される移動体群ネットワークのための移動・無線通信制御技術を開発することを目的としている。特に、(1)自律的に無線ネットワークインフラを構築する移動無線ルーター(移動機能付き無線通信基地局)群の通信性能を考慮した移動制御技術の確立とその効果の明確化、(2)形状、構成個体数、接続状態などを確保しながら移動する群の移動制御と無線通信性能の間に存在する相互作用の明確化、(3)大規模移動体群の群移動制御に適した無線通信方式・プロトコル設計技術の確立とその効果の明確化、を行い、群移動制御を支える移動・無線通信制御技術を確立することを目的としている。これらの目的のうち、(1)、(2)については、実績概要にも述べたように、ほぼ完了したと言える。つまり、研究期間3年のうち2年が経過した現時点で、全研究項目のうちの2/3を完了しているため、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度までに考案したノード移動制御アルゴリズムの評価の大規模化及び群れ制御アルゴリズムにおける実用的な通信プロトコルや制御機構の影響の評価を行う予定である。また、これらの評価を踏まえ、大規模移動体群の群移動制御に適した無線通信方式・プロトコル設計に関する検討を行っていく。さらに、具体的な応用として、車車間通信システムやモバイルセンサーネットワークなどを考え、これらの応用で求められる要件について整理し、アルゴリズム設計や評価に反映していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、ノード移動制御アルゴリズムの評価の大規模化を行うため、ロボットプラットフォーム構築のためのロボット及び無線ルーターを購入する予定である。これらは物品費としての支出を予定している。また、今後の応用の模索及び群移動制御や無線通信制御の最新研究動向を探るため、国際会議に出席するための旅費を支出する。さらに、これまで得られている研究成果の学会発表を行うための出張旅費を支出する。また、実験を行うために学生による研究補助を依頼する予定であり、このための謝金を支出する予定である。今年度は、群移動制御を支える移動・無線通信制御技術の確立を優先的に行ったため、実験の大規模化及び国際会議出席による研究動向調査の実施を次年度に行うように計画した。このため、今年度支出予定であった研究費の次年度への繰り越しが発生した次第である。
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