2013 Fiscal Year Annual Research Report
茸子実体をバイオセンサとしたSPA型栽培システムの研究
Project/Area Number |
23760375
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Research Institution | Kanazawa Technical College |
Principal Investigator |
柳橋 秀幸 金沢工業高等専門学校, 電気電子工学科, 講師 (10553208)
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Keywords | SPA / 計測工学 / 植物工場 / 環境制御 / 生体生命情報学 / モデル化 / 菌類 / 茸 |
Research Abstract |
最終年度はまず,前年度試作したSPA(スピーキング・プラント・アプローチ)式生育環境制御システムの改良に取り組んだ。当該システムは茸子実体の生体電位情報に基づいて栽培環境をフィードバック制御するものであるが,茸の個体差や針電極挿入の具合により生体電位が途中で計測できなくなることがあった。そのため複数個所の生体電位をあらかじめ計測しておき,リアルタイムで反応性を評価し,反応性が高いものにスイッチングするセレクタ機能を追加した。この機能により途切れることなく生体電位情報を取得できるようになり,意図しない環境制御機器の動作を抑制するに至った。 工場での実地試験の結果,茸の生長制御においては光源が最も費用対効果が高いとの知見を得たため,栽培に有効な光源(波長)をさらに探究した。過去の予備実験では近紫外の光源に対して良好な生長結果が得られており,今回は実験系の仕様で従来試行が困難であった近紫外に対する生体電位の応答特性を調べた。その結果,大きな応答が従来得られていた青色域と比較し,近紫外光でより大きな応答を得た。 上述した最終年度の成果と併せ,研究期間全体を通じて得られた成果は以下のとおりである。茸の生長を左右する環境因子として,培地への電圧印加および遠赤外線照射,子実体への近紫外光照射の有効性が示唆された。次に,子実体の形態形成の評価手段として,液体クロマトグラフおよび核磁気共鳴緩和時間の有効性を示した。これらの結果を踏まえて,茸の生体電位応答特性に基づいたSPA式生育環境制御システムの構築に取り組んだ。当該システムは,計測した直近特定時間分の生体電位の傾きやFFT解析値に基づいて光源の強度や種類を変更し,子実体の生長(形態形成)を制御するものである。システムのフロー完成後,動作検証機を実際に栽培工場に設置し,実地試験結果を踏まえて改善を施した。
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