2012 Fiscal Year Research-status Report
状態依存むだ時間系のファジィモデリングに基づく解析と制御系設計
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23760397
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 健一 松江工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (70553600)
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Keywords | 状態依存むだ時間系 / 制御理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は,状態依存むだ時間系と呼ばれるある種の物理システムの解析・制御に関する手法を構築することを目的としている.具体的には,系の安定性についての判別法や系の制御法,状態推定法等を制御理論の観点から構築することが目的である. このうち平成24年度は,状態依存むだ時間系の一つである伝播信号の跳ね返りを利用して自己の位置制御を行うある種の自己位置制御系を対象にして,その近似モデルをもとにした解析法,状態推定法について考察した.伝播信号の跳ね返りを利用する自己位置制御系は,その信号の速度および送受信にかかる時間をもとに自己の現在の位置を算出するため,その推定が正確に行えないといった問題があったが,過去の系の状態を記録しておき,その情報を利用して現在の系の状態を推定するオブザーバの設計により,推定がより正確に行えることを示した.具体的には,系の安定性の判別および状態の推定が,ある種の行列不等式をもとにした未知パラメータの探索によって行えることを示し,シミュレーションによってその有効性を示した. この内容はIEEE International Conference on Industrial Technology (ICIT 2013)において報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的のうち,平成24年度における研究実施計画は「状態依存むだ時間系の近似モデルに対する解析を行う」というものであった.ここでの解析とは,安定性解析を指し,その系のふるまいが安定であるか不安定であるかを特徴付ける条件を導出するというものであった.結果としては,計画通り,その安定性を線形行列不等式と呼ばれるある種の行列式によって特徴付けることができ,さらには,平成25年度の計画の一つである,状態依存むだ時間系の現在の状態を把握するためのオブザーバの一設計法も示すことが出来た.このため,達成度の区分を(2)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように,平成24年度においては,ある種の自己位置制御系に対する一つの安定性解析,状態推定を,線形制御理論の枠組みで行うことが出来た.しかし,その有効性はシミュレーションによってのみ検証されており,実機を用いた検証がなされていない.また,状態推定に的を絞った研究であったため,その制御法についての検討がなされていなかった.そこで今後は,その制御法および検証方法についての検討を行いたいと考えている.具体的には,まず制御法については最適制御理論を中心とした理論的考察により何らかの結果を与え,検証については超音波等を利用した簡易な実験システムを構築して検証にあたりたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は主として理論研究であるため,物品購入を目的とした費用の必要性はあまり感じられない.上記の通り,おおむね研究は進展しているように思われ,研究結果も平成24年度の査読付き国際学会で公表したように,徐々にではあるが得られてきている.このため,研究内容を発信することに重きを置き,次年度も旅費を中心として研究費を使用する予定である.
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Research Products
(1 results)