2011 Fiscal Year Research-status Report
デジタル計算機を有効活用した離散時間システムに対する外乱抑制制御則開発
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23760398
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
佐藤 昌之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 研究員 (90358648)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 制御理論 |
Research Abstract |
航空機の乗り心地改善および乱気流による事故の防止を目的とした飛行制御則設計に適用可能な「デジタル計算機を有効活用した離散時間システムに対する外乱抑制制御則開発」を最終目標に,平成23年度は以下の二つの仕様を満たす離散時間ゲインスケジューリング出力フィードバック制御器設計法の開発に取り組んだ.(1):制御則に提供されたスケジューリングパラメータ値に含まれる観測誤差等の不確かさおよびパラメトリックに表されるシステムの不確かさの両方にロバストであること(2):未来のパラメータ値を用いない制御則であることその結果,「実用的なロバストゲインスケジューリング制御器の設計法開発」(科研費番号:20760287)と同様に多少の制御性能劣化は免れないものの,上記二つの仕様を満たす制御則設計法が開発できた.なお,(2) の仕様を満たすために適用した拡大線形行列不等式(Extended Linear Matrix Inequality; Extended LMI)の特徴である Lyapunov 行列とシステム行列の分離により,パラメータ依存 Lyapunov 関数を用いながらも制御器の係数行列はパラメータに関して有理式ではなく多項式で与えられるようになり,オンライン計算量が少ないという特徴も有することが可能となった.さらに,開発した制御器設計法を用いて,JAXA が保有する実験用航空機 MuPAL-α を対象とした外乱抑制飛行制御器を設計し,数値解析の結果,良好な外乱抑制性能が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において予定した通り,スケジューリングパラメータ値に含まれる不確かさおよびパラメトリックな不確かさの両方にロバストであり,かつ未来のパラメータ値を用いないという仕様を満たす離散時間ゲインスケジューリング出力フィードバック制御器設計法が開発できた.一方,エクストラサクセスとして掲げた低次元制御器設計については,進展が得られなかった.以上より,「2.おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画においては,平成24年度はパラメータ依存システムを対象としたロバストモデル予測制御による外乱抑制制御則の開発を予定していたが,JAXA が保有する実験用航空機を対象とした外乱抑制飛行制御則が設計できたことから,実環境下における制御性能検証を平成25年度から前倒しして実施する.また,上記実験と平行して,オブザーバー併合型ゲインスケジューリング制御器の設計法についても検討を進め,さらに実用性を高めることを目指す.なお,この課題は,他機関の研究者からオブザーバー併合型ゲインスケジューリング制御の有効性および適用性の広さを指摘されたことによる.その後,パラメータ依存システムを対象としたロバストモデル予測制御による外乱抑制制御則の開発へ移行する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用については,当初の予定通り,研究成果発表および研究動向調査旅費,英語論文校閲,書籍購入,論文掲載料として使用する予定である.
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