2011 Fiscal Year Research-status Report
ひび割れを有するコンクリートの実効拡散係数試験による塩分浸透特性評価
Project/Area Number |
23760430
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齊藤 準平 日本大学, 理工学部, 助手 (20349955)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 塩分浸透 / ひび割れ / 実効拡散係数 / 電気泳動 |
Research Abstract |
本研究は、未だその浸透特性が不明確であるひび割れ条件やその他の条件下におけるひび割れを有するコンクリートの塩分浸透特性を明確にすること、ならびにその結果をもとに各条件下における塩分浸透特性評価ができる方法を構築することを目的とする。 それに対し、本年度は未だその浸透特性が不明確であるひび割れ条件やその他の条件下におけるひび割れを有するコンクリートの塩分浸透特性を明確にすることについて研究を行い、次のの成果が得られた。「ひび割れを有するコンクリートの塩分浸透特性における深さ,幅,長さ等のひび割れの条件違いの影響を検討した。ひび割れ幅,ひび割れ深さ,ひび割れ長さの増加に伴い実効拡散係数が増加する傾向が得られた。実効拡散係数から求めたひび割れ部分における拡散係数に対する実験結果は,貫通ひび割れ供試体では水中における塩化物イオンの拡散係数(400cm2/年)とJSCE算出方法のひび割れ部分の影響を表す定数D0(200cm2/年)程度の間になるという結果が得られた。既往研究のほとんどのひび割れ部分における拡散係数が水中における塩化物イオンの拡散係数より10倍~1000倍も大きくなっているのに比べて,本研究結果は適切な値として算出され,ひび割れを有するコンクリートの拡散係数の算出方法への実験による直接の検証が困難であるとの問題に対し,その検証がなされたといえる。また,非貫通ひび割れ(ひび割れが鉄筋まで進展していいない状態を想定)供試体では,ひび割れ深さとひび割れ部分における拡散係数との関係が貫通した場合(200(cm2/年)程度)と原点(ひび割れ無し)間で線形近似となり,貫通した場合からひび割れ深さに応じて比例減少させた値程度となるという結果が得られた。」
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、未だその浸透特性が不明確であるひび割れ条件やその他の条件下におけるひび割れを有するコンクリートの塩分浸透特性を明確にすること、ならびにその結果をもとに各条件下における塩分浸透特性評価ができる方法を構築することを目的とする。 本研究は3年間で遂行するもので、平成23年度は、塩分浸透特性に及ぼすひび割れ条件(幅、長さ、深さ)の違いの影響、およびコンクリートのひび割れ面に樹脂被膜がある場合の塩分浸透特性(コンクリートのひび割れ以外の部分にエポキシ樹脂を塗布し通電)を検討することを目的に、研究を実施する計画である。 それに対し、本年度は研究実績の概要に示したように、当初の計画通りに研究を進められているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究実施計画平成24年度は(1)ひび割れ面に樹脂被膜が存在する場合、(2)ひび割れが複数本散在する場合の塩分浸透特性を検討する。<変更点>平成24年実施予定の、コンクリートに応力が作用した場合の塩分浸透特性の把握実験(応力作用実験)は平成25年度に実施する。平成25年実施予定の、ひび割れを複数本設けた場合の塩分浸透特性の把握実験(複数ひび割れ実験)は平成24年度に実施する。<変更理由>応力作用実験の実施には、装置の変更や微調整などが余儀なくされる。装置変更に伴う時間ロスを解消し効率的に実験を実施するため、装置変更なく実施可能な複数ひび割れ実験を先んじて実施する。平成25年度の研究実施計画平成25年度は、コンクリートに応力が作用した場合の塩分浸透特性の把握実験および必要な追加実験を実施する。また、ひび割れ条件、外的要因およびその他の要因の影響下の塩分浸透特性の評価ができる方法を構築する。<変更点>平成25年実施予定の、ひび割れを複数本設けた場合の塩分浸透特性の把握の実験は平成24年度に実施する。平成24年実施予定の、コンクリートに応力が作用した場合の塩分浸透特性の把握のための実験(応力作用実験)は平成25年度に実施する。<変更理由>応力作用実験への装置変更に伴う時間ロスを解消し、効率的に実験を実施するため。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究費の執行により、研究計画通りの実験遂行が最低限の設備が整った。次年度は、効率的に実験・研究が進められるような工夫のための研究費の使用、研究・実験に伴うランニングコスト(実験器具、消耗品等の購入)、研究成果の発表・広報活動等に使用する予定である。
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