2012 Fiscal Year Research-status Report
ひび割れを有するコンクリートの実効拡散係数試験による塩分浸透特性評価
Project/Area Number |
23760430
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齊藤 準平 日本大学, 理工学部, 助手 (20349955)
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Keywords | 塩分 / ひび割れ / 実効拡散係数 / 電気泳動 / クーロン |
Research Abstract |
本研究は,未だその浸透特性が不明確であるひび割れ条件やその他の条件下におけるひび割れを有するコンクリートの塩分浸透特性を明確にすること,ならびにその結果をもとに各条件下における塩分浸透特性評価ができる方法を構築することを目的とするものである。 それに対し,本年度は,多様化するひび割れや部材への塩分浸透特性の評価方法を実験とその検討によって構築した。具体的には,実験は床版のような広い面に対し不規則な複数のひび割れが散在する場合をモデル化した供試体を用いて,塩分浸透実験を実施した。評価方法の構築には,ひび割れを有するコンクリートの塩分浸透特性を拡散係数で評価する方法として,土木学会コンクリート標準示方書[設計編]で提示されている,塩害に対する照査における鋼材位置における塩化物イオン濃度の算出方法(以降JSCE算出方法と略称する)に実験結果を適用し,評価できるひび割れ条件や部材の適用範囲の制限を拡張した式を構築した。この拡張式によって,JSCE算出方法が対象とするはりに発生した曲げひび割れだけでなく,床版のような広い面に対し,不規則な複数のひび割れが散在する場合や,ひび割れが鉄筋まで達していない場合の塩分浸透特性が評価できる可能性を得た。 さらに,クーロンから塩分浸透特性を5段階にランク判定することによって拡散係数を用いず迅速に簡便に評価できる促進試験方法として,北米を中心に比較的多く採用されているASTM C1202(AASHTO T277)(ただし,ひび割れを有する場合への規定がない)を応用すべく,モデル化したモルタル供試体の実効拡散係数やクーロン等と,ひび割れ幅,ひび割れ本数およびひび割れ深さなどのひび割れ条件との関係性を整理し,塩分浸透特性をひび割れ条件から評価する方法を実験的に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,未だその浸透特性が不明確であるひび割れ条件やその他の条件下におけるひび割れを有するコンクリートの塩分浸透特性を明確にすること,ならびにその結果をもとに各条件下における塩分浸透特性評価ができる方法を構築することを目的とする。 本研究は3年間で遂行するもので,平成24年度は,床版のような広い面に対し,不規則な複数のひび割れが散在する状態の塩分浸透特性を実験を実施し検討する,そしてそのような状況下の塩分浸透特性を評価する方法を構築し,提案するまでに到る計画であった。 それに対し,実験結果を検討し,ひび割れ面積比を用いること,ひび割れ深さの影響をひび割れの影響を表す定数を減ずることによって,評価できるひび割れ条件や部材の適用範囲の制限を拡張した式を構築することができた。以上から,本年度は研究実績の概要に示したように,当初の計画通りに概ね順調に研究を進められているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,増加進展するひび割れならびに内部損傷が塩分浸透特性に及ぼす影響を検討する。 平成23年度,24年度の研究によって構築された式の実構造物への適用に際し,人工的に作製したひび割れではなく,より現実的な作用,すなわち加力によって発生した損傷ひび割れに対しての適用性を検討する必要があると考えられる。これは,加力が表面の視認できるひび割れの発生を誘引するだけでなく,コンクリートの内部の不可視な微細ひび割れ等の損傷を生じさせ,これらが結果的に塩分の浸透に影響するにもかかわらず,提案式には内部の微細ひび割れ等の損傷の考慮がなされていないからである。 そこで,平成25年度はひび割れを有するコンクリート構造物のかぶり部分をモデル化したモルタル供試体に対し,無負荷状態,加力によって損傷を与えその加力を維持した状態ならびにその加力を除荷した状態における電気泳動実験によって,増加進展するひび割れならびに内部損傷が塩分浸透特性に及ぼす影響を検討する。さらに,これら結果に基づく,加力による増加進展ひび割れと内部損傷の影響の提案式への導入の妥当性を検討する。 実験の進行手順は加力状態を変化させた全3段階とする。段階1は,人工ひび割れ(初期ひび割れ)が有る無負荷状態,段階2は加力によって新たなひび割れが発生し,そのひび割れが進展した状態(加力維持),段階3は段階2の加力を除荷した状態とする。それら各段階に対し電気泳動実験を行い塩分浸透特性との関係を検討する。ただし,段階1から段階3まで同一供試体で電気泳動実験を行うことから,段階2,段階3では電気泳動開始と同時に定常状態となるため,第1段階で見られる電気泳動実験における非定常状態はない。また,人工ひび割れは,増加進展ひび割れの発生機構の一部を担っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)