2013 Fiscal Year Annual Research Report
ひび割れを有するコンクリートの実効拡散係数試験による塩分浸透特性評価
Project/Area Number |
23760430
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齊藤 準平 日本大学, 理工学部, 助教 (20349955)
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Keywords | 塩害 / コンクリート / ひび割れ / 電気泳動実験 / 塩化物イオン濃度 / 拡散係数 |
Research Abstract |
本研究の目的は,未だその浸透特性が不明確であるひび割れ条件やその他の条件下におけるひび割れを有するコンクリートの塩分浸透特性を明確にすること,ならびにその結果をもとに各条件下における塩分浸透特性評価ができる方法を構築することである。研究実施計画は,①塩分浸透特性に及ぼすひび割れ条件(幅,長さ,深さ)の違いの影響,②ひび割れ面に樹脂被膜がある場合の塩分浸透特性,③ひび割れが複数本ある場合の塩分浸透特性,④応力作用下の塩分浸透特性を実験によって検討することである。 最終年度は,④応力作用下の塩分浸透特性を実験によって検討した。その結果,塩分浸透速度は応力作用が無い場合より,応力作用後に除荷した場合は内部損傷によって1.5倍ほど速度が増加することがわかった。ただし,加力が持続的に与えられている場合は,除荷した場合よりも速度は低下することがわかった。 研究期間全体を通じて研究実施計画に準じ,研究を実施することができた。その結果,多様化するひび割れを持つ様々な部材に対し,土木学会コンクリート標準示方書提示の,塩害に対する照査における鋼材位置における塩化物イオン濃度の算出方法を,ひび割れ面積比を用いること,ひび割れ深さの影響を考慮するためにひび割れの影響を表す定数にひび割れ深さに応じた係数を乗ずること,外力による損傷の影響を考慮するためにその定数を割り増すことなどによって,評価できるひび割れ条件や部材の適用範囲の制限を拡張することができ,簡便に塩分浸透特性を評価できる方法を構築することができた。 これら結果は,同様の課題を究明する研究者への影響や,示方書の将来的な改定への影響が予想され,その効果は大きいといえる。今後研究を重ね,構築式がより実用的になれば,最新の診断体制のない小さな自治体で簡便で精度良く塩分浸透特性の把握と鋼材腐食の照査に用いられ,その波及効果は大きいといえる。
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Research Products
(4 results)