2012 Fiscal Year Annual Research Report
打音・表面振動・弾性波の相関性に着目した鋼板巻立て橋脚の点検診断技術の確立
Project/Area Number |
23760435
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
玉井 宏樹 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20509632)
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Keywords | 打音 / 表面振動 / 欠陥 / 鋼板接着 |
Research Abstract |
本年度は下記2項目に重点を置き研究を実施した。 1.内部に人工欠陥を有する鋼板巻き補強コンクリート供試体を用いた供試体実験:前年度は,打撃音と表面振動等の基本特性を把握する実験を主として実施したが,今年度は,鋼板を接着した角柱コンクリート供試体を多数製作し,鋼板厚さや欠陥種別をパラメータとすることで,打音法と赤外線法の適用限界について検討した。また,音圧波形や表面加速度波形,それらをフーリエ変換して得られる周波数波形を基に欠陥の有無や欠陥の種類を判別可能な打音特徴量の抽出を試みた。その結果,まず,鋼板厚さが6mmになると空隙や付着切れを判別することは困難であり,さらに1mmの場合に着目すると,空隙がある場合は卓越する周波数が3.5kHzと高くなるとともに,5kHz~10kHzという高周波数帯にも第二,第三の卓越周波数が表れることが確認できた。一方,付着切れがある場合は第一の卓越周波数は健全の場合と変わらないが,空隙と同様,高周波数帯にも第二,第三の卓越周波数が表れることが確認できた。この傾向は,鋼板厚さ3mmの場合にも健全との差として表れるが,その差は小さくなる。加速度波形についても同様の見解を得ることができた。結果として,赤外線法と打音法を併用することにより,異種材料で覆われた部材の健全度診断の可能性は広がるが,覆う側(鋼板)の厚さや内部欠陥の種別によって限界があると言え,今後,実規模橋脚等での実験や調査が必要であることがわかった。 2.数値解析による取り組み:本年度は,構造-音響解析を通して構造解析のみによる構造振動の定量的評価が重要であるとの判断から,供試体実験を模擬した過渡応答解析を実施し,打音と表面振動と弾性波発生メカニズムや相関性について検討を実施した。その結果,本研究で提案したFEMモデルにより供試体実験結果の傾向を精度良く捉えることができた。
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