2013 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化による局地的豪雨の頻発化を想定した人為的豪雨抑制手法に関する数値実験的研究
Project/Area Number |
23760467
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鈴木 善晴 法政大学, デザイン工学部, 准教授 (80344901)
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Keywords | 集中豪雨 / 気象制御 / シーディング / 地球温暖化 / メソ気象モデル / 雲解像モデル |
Research Abstract |
本研究は,地球温暖化進行時の豪雨頻発化を念頭に,クラウド・シーディングを用いた人為的豪雨抑制手法の開発とその効果的な実施条件について検討を行うものである.最終年度の平成25年度は,主にメソ気象モデルWRF を用いてシーディングによる豪雨抑制効果の評価・検証を行った.雨域面積や時間降水量の変化といった新たな観点からシーディングによる降水システムへの影響の有無や大小を解析するとともに,シーディングに伴う氷晶数濃度や霰の増減などに着目して抑制効果のメカニズムを詳細に解析した. その結果,シーディングにより12 時間積算降水量のピーク領域の面積や時間最大降水量が効果的に抑制され得ることなどが確認され,感度分析の結果からは,積雲が発生し雨が降り始める時刻より雲頂上部または雲頂下部でシーディングを行ったケースにおいて顕著な減少傾向が見られた.また,シーディングにより豪雨が抑制されたケースでは,シーディングを行った直後に氷晶数濃度が増加するとともに,潜熱の影響によって高高度で上昇気流が発生し,鉛直上方に広がっていることが確認された.その氷晶が風上側から風下側へ流されていることから,降水粒子の移動・拡散がシーディングによる豪雨抑制の重要な要因と考えられる. 一方,上記の積雲成長期におけるシーディングとは別に,積雲発生初期(雨が降り始める前の状態)のシーディングについてもその有効性を検討したところ,より短時間かつ狭域のシーディングにより,比較的大きな豪雨抑制効果が得られることが明らかとなった.この手法は,積雲の発生初期にシーディングを行うことで降水粒子の併合過程を抑制する効果を持つことが確認されたが,シーディングを用いた豪雨抑制手法の実用性・信頼性を大幅に向上させる可能性を秘めていることから,次期ステージでは本手法に関するさらに詳細な数値実験に取り組む予定である.
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Research Products
(9 results)