2011 Fiscal Year Research-status Report
幹線街路の計画・設計・運用のための歩車QOS評価と道路空間の再構築に関する研究
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23760480
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 弘司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362320)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 利用者QOS / 自転車 / ストレス / 道路構造 |
Research Abstract |
本研究では,幹線街路の計画・設計・運用・維持管理の際に,有用な評価指標となり得る利用主体別のサービスの質(Quality of Service, QOS)に着目し,利用主体別QOSと交通性能であるアクセス性能,トラフィック性能,道路構造や交通量,制御条件などの各種要因との関係性を明らかにし,利用主体別の評価の重みを定量化することで,利用者全体のQOSを計量する手法の構築を目的の一つとしている. 本年度は,利用主体のうち,自転車利用者に着目し,自転車利用者の視点による幹線街路評価の検討を行うため,名古屋市内の幹線街路の自転車歩行者道において走行調査を実施した.そこでは,心拍変動から求められるLP面積を用いて自転車利用者のストレスを推定することで利用者QOSを計量することを試みた. まず,自転車利用者が受けるストレス要因とストレス増加要因を明らかにするため,LP面積に基づくストレス,非ストレス状態を表現するロジスティック回帰モデルを構築した.その結果,歩道交通量や通過交差点数,放置自転車数など道路構造や交通量が利用者ストレスやストレス増加に影響を与えていることがわかった.一方,アンケート調査より自転車利用者の主観的な走行性評価データを取得し,重回帰分析を行うことで構造物・障害物,歩行者・自転車,段差・舗装といった要因が利用者の主観的評価に影響を及ぼしていることを明らかにした.さらに,客観評価と主観評価の影響要因を比較することで,共通の影響要因や各評価に関する個々の影響を考察し,両者の関係性を示すことができた.これらより,幹線街路の自転車利用者のQOSを計量できたといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,幹線街路の計画・設計・運用・維持管理の際に,有用な評価指標となり得る利用主体別のサービスの質(Quality of Service, QOS)に着目し,利用主体別QOSと交通性能であるアクセス性能,トラフィック性能,道路構造や交通量,制御条件などの各種要因との関係性を明らかにし,主体別の評価の重みを定量化することで,利用者全体のQOSを計量する手法の構築を目的の一つとしている. 本年度は幹線街路に対するQOS評価構造の明確化のため,ドライバー,歩行者,自転車利用者の各主体別のQOS評価モデルを構築することを目指し,走行調査に基づいて,自転車利用者のQOSを主観,客観の両面から検討し,歩行者やドライバーとの関係を考慮したモデルの構築を行うことができた.ドライバーや歩行者といった他利用主体視点での評価までは至らなかったものの,概ね計画通りに進められたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,まず,幹線街路における走行調査・歩行調査を実施し,ドライバーや歩行者のQOS計量モデルを構築する.次に,構築した利用主体別のモデルを用いて,現在提供されているサービスレベルを評価するため,利用者全体でのQOS評価を行う.そのために必要となる主体別QOSの重み付けについては,道路管理者に対して聞き取り調査を実施することで対応する.具体的には,道路の接続性,ネットワークの中での街路の位置づけ,沿道立地条件などの要素を得点化し,全体QOS評価に対する各主体の重み付けを試みるとともに,利用者に対して同様のアンケートを行い,管理者,利用者の評価構造の違いについても検討を行う.さらに,交通需要の変動や利用者構成の変化に対する望ましい道路空間の構築のためのシミュレーション分析を行い,車両,歩行者,自転車の交通需要のバランスを考慮したネットワーク構成,効率的な運用・維持管理方策の検討等,今後望まれる道路空間のあり方を利用者視点で検討する. なお,収支状況報告書の次年度使用額が発生した理由については,当初計画では画像解析用ソフトウェアを1年目,交通流シミュレーションを2年目に購入する予定であったがその順番を変更したことによる差額,また,車両挙動に関する映像解析に用いる予定であった研究補助員への謝金を次年度に繰り越したことによるものである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
幹線街路での走行調査・歩行調査実施後,利用主体別QOS計量モデルの構築のために,取得した映像データを用いて効率的に交通現象解析を行うことが求められる.そのため,画像解析ソフトウェアの購入が必須である.また,大量に取得する映像データの解析を円滑に進めるために,研究補助員の雇用が求められ,それに対する謝金を要する. 前年度の研究成果の途中報告とともに,利用者QOS評価の最新研究動向を把握することが研究を取りまとめていく上で必要である.それゆえ,土木計画学研究発表会などの国内の学会,交通に関連する国際会議での情報収集のための出張を要するために,国内旅費,外国旅費,研究成果発表費用を計上している.
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Research Products
(2 results)