2011 Fiscal Year Research-status Report
合掌造り家屋床下の焔硝生産遺構に生息する新規微生物が有する未知硝化経路の解明
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23760512
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
成廣 隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 特許生物寄託センター, 研究員 (20421844)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 微生物生態 / 環境生態 / 微生物分類 |
Research Abstract |
平成23年度は「分子生態解析による合掌造り家屋床下土壌遺構の硝化微生物群の遺伝子情報収集」について、主に16S rRNA遺伝子クローンライブラリの構築を遂行した。5箇所から採取した土壌試料において、バクテリアおよびアーキアのそれぞれで50-100個のクローン(計868クローン)を獲得した。各ライブラリのカバー率は42-95%であった。バクテリアのクローンライブラリでは、すべての土壌試料から、Gammaproteobacteria綱、Actinobacteria門、Chloroflexi門、Firmicutes門に類縁のクローンが高頻度に検出されたが、既知のアンモニア酸化菌や亜硝酸酸化菌はほとんど検出されなかった。アーキアのクローンライブラリでは、土壌環境から高頻度に検出されるアンモニア酸化アーキアの一群として知られるNitrososphaera属、および高度好塩性アーキアとして知られるHalobacteriaceae科に近縁のクローンが中心的であり、土壌中の塩濃度がHalobacteriaceae科とNitrososphaera属との棲み分けに強い影響を及ぼしていることが示唆された。これらのことから、今回発見されたHalobacteriaceae科アーキアは、従来知られている光合成色素を含むアーキアではなく、中程度の塩濃度環境でアンモニア酸化(または亜硝酸酸化)を担う新しい微生物群である可能性も示唆される。今後、これらの難培養性高度好塩性アーキアを純粋分離し、栄養要求性などの生理・生化学的試験を実施することで、硝石生産遺構における有機物循環を解明することができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の計画に沿って、合掌造り家屋床下から採取された土壌に生息する微生物群の分子生態解析を、硝化反応に必須のアンモニア酸化酵素遺伝子と系統分類マーカー遺伝子である16S rRNA遺伝子を標的としたクローンライブラリを構築することにより滞りなく遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に実施した合掌造り家屋床下土壌遺構の分子生態解析の結果から、土壌中に含まれるアンモニア酸化関連微生物の存在量が極めて低いことが示された。そこで今年度は、次世代シークエンス技術を利用したディープシークエンス解析を実施し、極めて低い量でしか存在していないアンモニア酸化関連微生物の分子生態を明らかにすることを目標とする。それと並行し、各種培養技術を駆使して新規アンモニア酸化微生物の高密度集積化を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、新たに実験項目として設定した次世代シークエンス解析のための各種試薬および外部委託解析費用を計上する予定である。
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