2013 Fiscal Year Annual Research Report
合掌造り家屋床下の焔硝生産遺構に生息する新規微生物が有する未知硝化経路の解明
Project/Area Number |
23760512
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
成廣 隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (20421844)
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Keywords | 硝化反応 / 微生物生態学 / 環境微生物学 |
Research Abstract |
昨年度に実施した16S rRNA遺伝子を標的としたパイロシークエンス解析の結果からは、合掌造り家屋床下土壌遺構に今も生息する硝化関連微生物の痕跡を認めることができたが、微生物群全体に占める割合は極めて低いものであった。そこで今年度は、アンモニア酸化を担う遺伝子(ammonia monooxygenase subunit A, amoA)を標的としたパイロシークエンス解析を実施し、さらに詳細な分子生態解析を実施した。系統学的に異なるdomainに分布するアンモニア酸化微生物を検出するため、バクテリアおよびアーキアのamoA遺伝子に特異的な2種類のプライマーセットを使用した。その結果、各土壌試料から約4,600~14,000個のバクテリア由来amoA遺伝子リード、約7,700~28,000個のアーキア由来amoA遺伝子リードを獲得した。これらの配列情報を公共の遺伝子データベースに登録されている既知のamoA遺伝子塩基配列と照合したところ、バクテリアでは16S rRNA遺伝子解析でも見出されたNitrosospira属やNitrosomonas属に近縁のamoA遺伝子が優占していた。一方、アーキアでは16S rRNA遺伝子解析では見出すことの出来なかったNitrososphaera属に近縁のamoA遺伝子が優占していた。16S rRNA遺伝子解析に基づく土壌全体の微生物群、およびamoA遺伝子解析により基づくアンモニア酸化微生物の群集構造と、土壌試料の物理化学的パラメータとの関連性を主座標分析等により解析したところ、硝酸イオン濃度や水分含量が微生物群全体の多様性に影響しており、土壌pH値および有機炭素濃度がアンモニア酸化微生物の多様性に影響を及ぼしていることが示唆された。これらの結果から、合掌造り家屋床下土壌遺構に生息している微生物の多様性を解明することができた。
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