2011 Fiscal Year Research-status Report
「働きたくなるオフィス」実現のための知識創造活動に寄与する空間感性価値の研究
Project/Area Number |
23760574
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 裕司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (60379071)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | オフィス / ワークプレイス / 建築設計 / 感性 / 知識創造活動 |
Research Abstract |
初年度である本年度は、現状の把握と広い視野からの知見収集、事例収集から具体的な仮設を構築する段階であると位置づけ、下記の研究を行った。1)ワーカーがオフィスに求める場所選択の多様性及び選択要因を把握するために、写真撮影と短い文章で印象を記述する調査票調査を実施し、どのような際にどのような空間が求められているかの基礎的な実態を把握した。また、フリーアドレスオフィスを対象として、どのような場合にどのように自席を選択するのかについて実態調査を行った。2)経営者と企業のファシリティマネージャへインタビュー調査を実施し、グラウンデッド・セオリーアプローチによりを経営資源としてのオフィスの役割についての現状認識を整理した。この調査から、組織戦略にオフィスの設えが寄与するという仮説を導出し、行動観察、逐次アンケート調査、及び赤外線センサーを用いた行動モニタリングによる実験を行い、空間デザインが組織戦略の浸透に及ぼす影響を明らかにした。3)「仕事をより面白くするオフィス」を主題としたオフィスづくりに携わる専門家106名からの記事を元に、テキストマイニング(共起ネットワーク分析)により、今後のオフィスに求められる要件を抽出し、要件間の関係構造(ネットワーク)を把握した。4)その他、オフィスにおける「役に立たないコミュニケーション(≒雑談)」の価値を把握するための観察実験を実施し、創造業務におけるコミュニケーションの多面的な価値を確認した。オフィス環境及び環境により誘発される行動と集団凝集力(組織力を測る一指標)との関係を把握するためのアンケート調査を実施し、業種の違いによる関係の違いを把握した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査、インタビュー調査(ワーカー、経営者、有識者)、写真撮影調査、実地観察調査、実験室実験を実施し、多面的な視点から幅広い知見を収集することができた。その中で、本研究の主題である「空間の感性的な価値と、企業の経営価値やワーカーの心理面との関係」に関する具体的な仮説をいくつかを導出している。また、次年度に向けて行動モニタリング装置の開発及び予備的動作実験も進めており、概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた知見及び、調査や実験に関するノウハウに基づいて、主題に対してより具体的な仮説に基づいた研究を行う。実験や分析に関しては、できるだけ数量的な分析手法を利用/開発/適用したいと考えている。このことで、オフィスづくりの現場でより利用しやすい成果を得られると思われる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度と同様、調査や実験に関わる支出(物品、出張、謝金)を主とするが、研究を円滑かつ効果的に進めるための観察支援装置や分析システムの開発にも積極的に使用する予定である。なお、23年度には、研究助言及び情報提供を頂くための出張費を先方の都合により繰越ししており、23年度成果に対する評価も含めて本年度に助言いただく予定としている。
|
Research Products
(12 results)