2011 Fiscal Year Research-status Report
シングルサイト電極基板の創製およびPt単原子電極触媒の開発
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23760690
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
白仁田 沙代子 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (90580994)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 電極触媒 / Pt単原子 / Pt使用量低減 |
Research Abstract |
本研究課題では、Pt単原子粒子の析出および析出粒子間の距離を制御する新規電極触媒材料の調製法の確立を目指している。これは、電極触媒の未踏領域である。本手法は、Ti原子サイトを電極基板材料に組み込み、Ptの析出サイトを制御した上で、Ptめっきを行う計画である。Ptを単原子粒子として析出させ、かつ析出粒子間の距離を制御し、電気化学的に評価することで、原子・分子レベルで電極表面を解明することができる。これは、高活性を有する電極触媒設計のおおきな手かがりとなる。異種金属種を組み込んだ基板材料を創製し、単原子レベルで粒径および粒子間距離御を制御した電極触媒材料の報告例はない。そこで、本研究課題では活性金属元素であるPtを例にとり、Pt単原子粒子サイズおよび粒子間距離を制御した新規電極触媒の調製を目指している。 平成23年度の実績としては、電極基板上にTi原子を含有したシリカ薄膜を作製し、その上にめっきによってPt粒子を担持することに成功した。めっきする電位を変えることで、作製したPt粒子のサイズはSEM測定可能なサイズからSEMでは観察できないサイズまで、それぞれ作製することができた。今回得られた条件をもとに、Pt単原子粒子の作製を目指して、さらなる条件出しを行っていく。また、別のアプローチとして、Ti原子含有のシリカ粒子を作製し、Pt光還元法により微少量Pt粒子の担持に成功した。このPt粒子は、高分解能のTEMにおいてのみ観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の研究計画内容としては、電極触媒の調製および電極触媒の評価を挙げていた。具体的には、電極触媒の調製に関して(1)電極触媒の基板材料上へTi原子含有したシリカ薄膜を成膜する。(2)めっきによりPt粒子を調製する。電極触媒の評価に関して(1)サイクリックボルタンメトリー測定により、Pt粒子の析出を確認する。(2)酸素還元反応および水素酸化反応を用いて、Pt粒子の電気化学特性を評する。まず、電極基板上に作製したPt電極触媒についてであるが、平面な電極基板上にTi原子を含有したシリカ薄膜を作製し、その上にPt粒子をめっきすることによって作製した。薄膜の引き上げ速度およびPtめっき電位の条件を変化させて検討した。作製したPt電極触媒を用いて、電気化学測定を行った結果、Ptバルクにみられるような水素の吸脱着ピークを有する典型的なサイクリックボルタモグラムは得られなかったが、酸素還元反応は進行し、確かに還元電流が流れることが確認された。Pt粒子はSEM測定により観察できるサイズではなかったが、還元電流が流れたことから、確かにPt粒子がめっきされていると結論付けることができた。また、Ti原子含有のシリカ粒子に光還元法によりPt粒子を担持した系では、こちらもSEM測定ではPt粒子の有無を確認することはできなかった。しかしながら、Pt粒子担持シリカ触媒において、多孔質マイクロ電極を用いて紛体のまま電気化学測定を行ったところ、水素酸化反応が進行することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度、電極基板上にTi原子を含有したシリカ薄膜を作製し、その上にめっきによってPt粒子を担持することによってナノメートルサイズのPt粒子を有する電極触媒の調製に成功した。得られた電極触媒は、バルクのPtの性能には及ばないが、酸素還元性能を有することが見出されている。今後の展開として、より小さなPt粒子(目標はPt単原子)の作製を考えると、めっきする電位をより高電位かつめっき時間を少なくする方向で考えている。今回作製したPt粒子はSEMでは観察できず、高分解能を有するTEMを用いなければ、観察することができない。この点に関しては、申請時に提案した平成24年度の研究計画に基づき無電解めっき法を用いてPt粒子サイズのスケールアップを行うことによって、間接的にPt粒子のキャラクタリゼーションを行う方針である。一方、別のアプローチとして光還元法を用いて、Ti含有のシリカ粒子上にPt粒子を担持した紛体電極触媒を作製することに成功している。この紛体Pt電極触媒においては、水素酸化反応にて電気化学測定を行ったところ、Ptマイクロ電極と同等のオンセット電位の立ち上がりを観測することに成功している。この電極触媒においては、Ti含有量や光照射時間、前駆体溶液中のPt濃度、還元剤の濃度などの種々の条件を検討することを考えている。これは、Pt使用量の大幅な削減に貢献できる可能性を有した研究開発である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の物品費の費目として、実験試薬(電極触媒調製に伴う、原材料試薬および溶媒、還元剤・電気化学測定に伴う、電解液)、電極基板材料(導電性基板材料)、電極材料(電気化学測定の対極、参照極材料)、高純度ガス(電気化学測定時に使用する高純度Arガスおよび高純度N2ガス)が挙げられ、計500,000円の支出を予定している。平成24年度の旅費として、計650,000円を予定している。この内訳は次の通りであり、これまでの成果報告を行うことを目的としている。(1)アメリカ電気化学会と日本電気化学会の合同で行われるPacific Rim Meeting on Electrochemical and Solid-state Science 2012において発表予定である。これには、学生の旅費も含める。(2)福岡で行われる電池討論会において発表予定である。(3)福岡で行われる触媒学会において発表予定である。
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Research Products
(2 results)