2013 Fiscal Year Annual Research Report
フェノール酸化によるヒドロキノン高選択製造のためのチタノシリケート触媒の開発
Project/Area Number |
23760741
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
稲垣 怜史 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90367037)
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Keywords | 高選択的酸化反応 / グリーンケミストリー / チタノシリケート / 多孔質材料 / 形状選択性 |
Research Abstract |
本研究ではTi-MCM-68の調製過程で,Ti導入量,Tiの配位状態,ゼオライト骨格の親・疎水性などを制御することで,フェノールの酸化に優れた触媒を創生することを目的とした。またTi-MCM-68触媒でのフェノール酸化におけるパラ体である二価フェノールであるヒドロキノンへの高選択性発現の理由を明らかにした。 まず脱AlしたMCM-68に対して,(1)嵩高く12員環ミクロ孔に入ることができない大きさである,triphenylsilyl chloride により外表面シラノールの選択的な修飾,(2)TiCl4蒸気によるTi導入処理,(3)高温加熱(焼成)によるphenyl基の除去,を順次行い,ミクロ孔内のみTi修飾されたTi-[ ]-MCM-68-calを得た。調製したTi-[ ]-MCM-68-calでフェノールの酸化を行い,通常の手法で調製したTi-MCM-68での反応結果を比較したところ,より高いヒドロキノン選択率が得られた。このことから本反応ではヒドロキノンが12員環ミクロ孔内で「形状選択的に」生成していることを確かめた。 続いて12員環ミクロ孔の細孔次元の影響を検討するため,2種類の10員環ミクロ孔が交差しているTS-1(MFI),三次元12員環ミクロ孔からなるTi-beta(*BEA)などを調製した。これらのチタノシリケートでフェノールの酸化を実施した結果,TS-1では60%程度のヒドロキノン選択率にとどまり,10員環ミクロ孔内では本反応が進行しにくいことが示唆された。一方,Ti-betaではカテコール由来のタールが反応開始直後から生成することを確認した。Ti-betaの広い12員環ミクロ孔では嵩高いカテコールの生成が有利に起こると考えられる。 これらの研究からTi-MCM-68がフェノール酸化でのヒドロキノンの高選択生成触媒として優れていることを明らかにした。
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