2011 Fiscal Year Research-status Report
超小型衛星のための国際ネットワーク軌道決定システムの構築および観測実験
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23760760
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 祐二 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50431523)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 人工衛星 / 超小型衛星 / 軌道決定 / ネットワークシステム |
Research Abstract |
近年、超小型衛星開発が世界的に活発化しており、災害監視、理学観測など実用的ツールとして発展しつつある。一方で、軌道決定システムの準備不足により、追跡管制が半分以上実現できない事例が発生するなど、運用面での技術向上が求められている。本課題では超小型衛星の簡易軌道決定システムを確立し、国際ネットワーク軌道決定システムの実験を実施する。低コストかつ導入が簡易な装置を製作し、国内外の様々な機関に導入してネットワーク運用することで、定期的に衛星軌道を世界に公開し共有できるシステムが実現する。現状の超小型衛星の運用では、米機関が配信する軌道情報に依存している。本課題の実現により、代替となる軌道情報配信サービスが確立するとともに、低高度軌道や深宇宙軌道など、多様化する衛星軌道にフレキシブルに対応することが可能になる。世界に先駆けてネットワークシステムを確立し、ネットワークのノード局を拡大していくことで、3~5年後には災害監視や理学観測など実用的な超小型衛星運用に多大に貢献できる。コスト面で後進国を含めてあらゆる機関で導入しやすい点が特色である。東北大学には435MHz帯簡易電波受信装置(アンテナ、指向制御モータ、タワー、データ解析装置)を設置している。H23年度はハードウェアの機能改善を実施し、受信ノイズの低減、および可搬性の向上に取り組んだ。一方で、インドネシア・バンドゥン工科大学に同型のデータ解析装置を構成して、実衛星の短期観測実験を実施した。これにより、データ解析の全自動化、およびネットワーク情報収集のためのソフトウェア開発を実施した。また、ドイツ・シュトゥットガルト大学も交えてH24年度以降に実施するネットワーク観測実験を計画し、現地担当者とシステム構成に関して議論し、合意を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の計画は、a)ハードウェアの機能改善、b)インドネシア・バンドゥン工科大学に同型の装置を設置、c)データ解析の全自動化、の3点が主な課題であり、いずれも達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度計画は、a)欧州1局へ435MHz帯受信装置を設置し観測能力を評価、b)日本・インドネシアを含む世界3局体制によるネットワークを使用しデータ処理システム(データ収集・軌道決定・軌道配信)を機能強化、c)東北大学のSバンド受信アンテナによる観測(周波数のダウンコンバート)および性能評価、の3点である。申請時計画では欧州2局としていたが、その場合はどちらかを無人運用にせざるを得ず、現時点の技術では目標が高すぎると判断し、1局に減らした。地理的配置から考えても、欧州1局に減らすデメリットはほとんどなく、各局で有人観測を実施することで、効率的な実験が可能になる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成23年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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