2012 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヒートパイプを応用した新しいタイプの衛星搭載用磁気冷凍機の開発
Project/Area Number |
23760763
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高田 卓 筑波大学, システム情報系, 助教 (30578109)
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Keywords | 超流動ヒートパイプ / 磁気冷凍 |
Research Abstract |
近年目覚しい発展を遂げる超伝導検出器を天文科学衛星に搭載するため、0.1K級冷凍機が求められている。そこで、重力の影響を受けない、長寿命、高信頼性などの宇宙利用に最適である磁気冷凍機、特に断熱消磁冷凍機(以下ADR)の開発が必要であり、小型化、性能向上が不可欠である。ADRは磁気熱量効果を用いた冷凍機である。常磁性塩の電子スピンを外部磁場で制御することでエントロピーを変化させる。しかしながら、極低温領域においては、使用可能な常磁性塩の熱伝導が著しく悪く、冷凍サイクルが長時間になり、冷却能力を制限している。 そこで、超流動ヒートパイプを応用した断熱消磁冷凍機(ADR)の開発の為、超流動ヒートパイプの基礎研究から実機検証までを行った。超流動ヒートパイプにおける充填物の影響、臨界熱流量の差異、入熱方法の影響、重力方向依存性等について調べた。また、本方式を採用したADR用の常磁性塩ユニットを製作し、従来型との比較を行った。ここで超流動ヒートパイプは従来型に比べ2桁以上高い実効的熱伝導率を得、その有効性を示した。今後、さらに精度の高い臨界熱流量の予測を可能にする詳細な伝熱機構についての調査、ADRの冷凍サイクルの試験が課題として残った。 また、この研究成果の発展として、極低温用熱交換器としてのHe II応用を広げる元となるデータベースが出来た。臨界熱流量を大幅に増加する製作方法を確立されれば、他分野においても、銅ヒートリンク等の伝熱の代替素子としての展望も開ける可能性が示された。
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Research Products
(3 results)