2012 Fiscal Year Annual Research Report
長期間・長距離の深宇宙航行を可能とするソーラーセイルの燃料フリー姿勢制御系の開発
Project/Area Number |
23760774
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船瀬 龍 東京大学, 大学院工学系研究科, 准教授 (70509819)
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Keywords | ソーラーセイル / 姿勢制御 / 太陽光圧 / 制御工学 / 液晶デバイス |
Research Abstract |
本研究は3つの研究課題,すなわち(A)素材レベルの基礎評価試験を通じた,姿勢制御デバイス全体の超長期宇宙環境耐性評価方法の確立,(B)超長期の宇宙環境耐性を有する姿勢制御デバイスの改良・開発,(C)光の反射方向も制御可能で任意の方向の姿勢制御トルクを発生可能な新しいデバイスの開発,で構成される.研究の最終年度である本年度は,初年度に実施した(A)および(C)を発展させるとともに,(B)においても成果を上げることができ,研究目的である長期間の航行を可能にする姿勢制御デバイスの開発について見通しを得ることができた. (A)の耐環境性評価と(B)の長期宇宙環境耐性を有するデバイスの開発においては,耐環境性の観点でボトルネックになっている液晶ポリマー部の宇宙環境耐性評価試験(紫外線試験)を昨年度に引き続いて実施したところ,デバイスの性能は紫外線照射後の時間経過に伴って変化(改善)することが確認され,実際の宇宙空間での低照射強度・長時間の照射における性能変化を精度良く評価するためにはさらなる詳細な評価が必要であることが明らかになった.その一方で,紫外線カットのコーティング処置をデバイスの基材に施したサンプルを今年度作成し,その紫外線透過特性を評価したところ,ソーラーセイルを用いた実ミッションで要求される耐環境性を満足できる可能性が確認できた. (C)については,任意の変形を有するソーラーセイル上に配置した液晶デバイスによって発生可能な姿勢制御トルクのモデルを精密化することで,新たな方式のデバイスを開発せずとも,既存の液晶デバイスのみを用いて3次元の任意の方向の姿勢制御トルクを発生可能であることを明らかにした.導出した精密な姿勢制御トルクモデルの妥当性は,ソーラー電力セイルの技術実証機IKAROSで液晶デバイスを用いて実施した姿勢制御実験の結果を通じて評価した.
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