2011 Fiscal Year Research-status Report
熱水性金鉱床の生成プロセスの可視化とレアメタル資源開発への応用
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23760794
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米津 幸太郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90552208)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 金鉱床 / 希土類元素 / 実験地球化学 / レアメタル / 可視化 |
Research Abstract |
熱水性金鉱床は地下震度数百メートルかつ過去の熱水活動の産物であるため、現状では過去に形成された含金石英脈と過去の時代とは同一ではない熱水より、鉱床が形成された当時の化学的・物理的状態を地質・鉱物学的手法によって推測している。そこで、その現在、見ることのできない鉱床の形成プロセスを室内実験で再現し、人工的に金鉱床(含金石英脈)を形成、すなわち可視化を目指すことで、新たな知見を加えた熱水性金鉱床の生成モデルを提案することを目的とした。 そのためのアプローチとして、23年度は現在でも活発に活動中である地熱発電所の熱水とそこから沈殿し、配管に付着したシリカ質沈殿物(含金)を模擬金鉱床試料として採取し、その中の希土類元素を含む微量元素のICP-MSによる定量分析、放射光XAFSを用いた金の化学状態分析を中心に行った。その結果、実試料での酸化還元状態や温度、pHなどのパラメータと金の化学状態の同定に成果を得た。 また、高温高圧下での予察実験や装置設計を行うとともに、既存の市販マイクロウェーブを活用して、鉱液に見立てた熱水を加熱・沸騰させ、蒸発させることで濃縮・沈殿物の生成を行う実験を最大200度までで試みた。配管と試料熱水のコンタミーネションおよび接触による反応を防ぐ工夫をしながら、狙い通りの条件を再現することに一定の成果を得たので、次年度には本装置を用いた基礎実験に入れる段階となった。同一組成の熱水においても、温度の差異による希土類パターンへの影響などを系統的に調べることにより、予察的な再現実験で得られた希土類パターンと実試料の希土類パターンに違いが見いだされることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より苦戦が予想された再現実験の反応容器の設計部分に計画の遅れはみられるものの、それを補う予察的な市販マイクロウェーブによる実験である程度の基礎データを取得することで遅れを最低限にとどめることができた。系統だった実験とその結果により、ある程度、敏感に金鉱床の生成条件が希土類パターンに反映させられる可能性が見いだせた。 実試料を用いた実験では、金鉱床の生成過程のナチュラルアナログとみなせる地熱発電所で得られる熱水とシリカ質沈殿物の両方を採取し、分析できたことが次に大きくつながる成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策は、まずは研究の主力となるべき耐圧容器の設計とそれを用いた実験の開始を行うことを目指す。これまでの予察実験、実試料を用いた実験を効果的に活用できるようにしながら、金鉱床の生成プロセスの解明に近づけていく。沸騰や熱水と天水の混合比の変化をうまく表現できるように、装置設計・実験設計を行っていく。実験、分析、成果とりまとめ、公表をバランスよく行えるように2年目以降は行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は実験、分析、公表にバランスよく使用したいところであるが、上限もあるので、メインとなる反応容器装置に重点的に使用する予定である。基礎部分のみを24年度に、オプションを25年度に使用することも視野に入れながら、上述の通り、研究全体のバランスをうまく保つために実験に伴う消耗品代や放射光実験などの外部での分析旅費、研究成果公表のための旅費・印刷費に使っていく予定である。
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Research Products
(11 results)