2013 Fiscal Year Annual Research Report
熱水性金鉱床の生成プロセスの可視化とレアメタル資源開発への応用
Project/Area Number |
23760794
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米津 幸太郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90552208)
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Keywords | 金鉱床 / 希土類元素 / レアメタル / 実験地球化学 / 可視化 |
Research Abstract |
熱水性金鉱床は地下深度数百メートルかつ、過去の熱水活動の産物であるため、直接観察が容易ではない。そこで、過去に形成された熱水性金鉱床試料と、現在、観察可能な地熱発電所の熱水・シリカスケール試料および人工的に調製したシリカ質沈殿物(模擬金鉱床)を比較することで、熱水性金鉱床の形成プロセスに関する新たな知見を加えたモデルを提案することを目的とした。 自然界の熱水性鉱床においては、金は銀との合金として産出されることから、天然試料に対するX線光電子分光法や放射光XAFSを用いた銀の化学状態分析や地化学モデル計算による溶存種の推定を行った。実試料中での希土類元素を含む微量元素のバルク分析により、明らかとなった酸化還元状態や温度、pHの情報と組み合わせて、従来の溶存想定種からの絞り込みを行った。 高温下での実験においては、マイクロウェーブ装置を活用して、温度・圧力を最大250度まで上昇させた後に、開放系にすることで蒸発・濃縮をさせて沈殿物(模擬金鉱床)を得た。種々の仕込みの元素により、含金ケイ酸塩鉱物、含金銀ケイ酸塩鉱物を含む沈殿物を観察することにより、金銀の沈殿のタイミングと希土類元素パターンの相関について検討した。 過去の産物であり直接観察が不可能な熱水性鉱床(鉱化作用)の形成に関して、可視化を行うために、自然界試料の観察、室内実験試料の観察、モデル計算を組み合わせてきたが、このアプローチについては遠回りのようではあるが、着実な進展が見られた。様々なタイプの鉱床(銅など)やレアメタルなどの産業に必要な資源を伴う鉱床の生成機構にも応用できるため、それらの機構の解明の足掛かりともなった。
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Research Products
(23 results)