2011 Fiscal Year Research-status Report
初期装荷トリチウム無し起動法による放射性物質輸送の無い完全自立型核融合炉概念構築
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23760820
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
日渡 良爾 (財)電力中央研究所, 原子力技術研究所, 主任研究員 (40371348)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 核融合システム工学 / トリチウム / プラント起動法 / プラズマ制御 / ブランケット / 初期装荷燃料 |
Research Abstract |
実験炉ITER計画によって世界の民生目的で備蓄・流通しているトリチウムのほとんどを使い果たす。従って現状のままでは、日本における初期装荷燃料であるトリチウム入手方法が確立しておらず、実験炉ITER以降の核融合発電実証プロジェクトへ進めない状況にある。本研究では、申請者等が開発した初期装荷用トリチウムを必要としないプラント起動法の詳細化ならびに最適化を実施している。これによって、初期装荷トリチウムの入手方法の具体的オプションを示すことを目標としている。平成23年度は、コアプラズマのトリチウムの輸送に関して1D輸送コードとペレット溶発コードを整備すると共に、ダイバータプラズマにおいては2次元ダイバータ輸送コードSOLPSを整備し、トリチウム輸送に関する詳細解析に向けた解析環境を整え、次年度の研究に備え解析をスタートさせた。さらに、MHD安定性コードERATO・電流駆動解析コードDRIVER88を用いて、コアプラズマ解析を実施し、初期装荷トリチウム無し起動方法に用いるトリチウム比制御と、燃料密度制御、ヘリウム比制御による核融合出力制御方法の難易度を比較し、それぞれの相対的な課題を明確化した。その結果、トリチウム密度比による制御の場合、その他の制御方法と比較して高い炉心プラズマの閉じ込め性能が必要であることが明らかになった。具体的にはITERの高性能運転で想定されている閉じ込め改善係数1.5程度のプラズマ性能が必要であることが分かった。一方、密度制御の場合、ダイバータプラズマ制御に望ましい高密度維持、ヘリウム比制御の場合にはヘリウム排気特性に課題があることが分かった。これら検討結果の一部は学術論文等で発表した。また、炉心以外のサブシステムにおけるブランケット中でのトリチウム挙動に関する文献調査を実施し、モデル化に向けた検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の目標である、(1)1D輸送コードとペレット溶発コードの統合コードによる詳細解析の実施、(2)周辺プラズマ輸送コードSOLPS5.0による解析の実施を行った。さらに(3)トリチウム処理系に関して相互作用素過程の文献調査に関しても、予定通り調査を実施した。主な変更点としては、平成23年に海外出張を予定していたが、平成24年度上期に開催される国際学会の方が発表内容と合致するセッションが存在することがわかり、次年度である24年度に国外出張を実施することに変更した。本変更は、研究計画に大きく影響はしないと判断し、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に整備した解析コード類を用いて、原型炉概念の装置サイズ・プラズマ性能・NBIシステム性能に関する炉心プラズマ運転に関する運転可能領域の解析を実施する。また、炉本体・ブランケット関連に関しては、プラント熱出力と冷却水必要量の関係、海水からの重水回収性能・リチウム回収性能の最新の文献調査を実施し、プラントの冷却水からの重水素・リチウム回収量を評価する。平成23年度の結果ならびに、平成24年度の結果については、国際学会や国内学会で発表し、内外の研究者と議論する場を設け、今後の研究に役立てる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度実施予定であった国際学会発表に関する海外出張(30万円)は、平成24年度上期に実施することとする。これは、研究発表内容であるプラズマ制御に関するセッションがある平成24年度の国際会議(第27回核融合技術に関する国際シンポジウム)の方が適切であると判断したためである。当該する国際会議においては、平成24年度の成果の一部も発表し、内外の研究者と議論を行い、今後の研究へ役立てる予定である。次年度のその他の研究予算の利用計画は以下の通りである。炉心プラズマ解析に関しては、解析の効率化を図るため最新のワークステーション(45万円)を購入し、研究を実施する。海水からの重水回収性能・リチウム回収性能の最新の文献調査では、図書や論文複写(5万円)を行う予定である。その他、国内学会等へ参加するために国内出張(30万円)、内外の学会・講習会への参加費用(20万円)として研究費を利用する予定である。その他、解析データのバックアップ用ハードディスク等の消耗品(20万円)を予定している。
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Research Products
(2 results)