2012 Fiscal Year Research-status Report
初期装荷トリチウム無し起動法による放射性物質輸送の無い完全自立型核融合炉概念構築
Project/Area Number |
23760820
|
Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
日渡 良爾 一般財団法人電力中央研究所, 原子力技術研究所, 主任研究員 (40371348)
|
Keywords | 核融合システム工学 / トリチウム / プラント起動法 / プラズマ制御 / ブランケット / 初期装荷燃料 |
Research Abstract |
平成23年度に整備した解析コード類を用いて、原型炉概念の装置サイズ・プラズマ性能・NBIシステム性能に関する炉心プラズマ運転可能領域の解析を実施した。 平成24年度の解析では、プラズマ平衡コード、MHD安定性コード、電流駆動解析コードを用いて、炉心プラズマの平衡・安定性・電流駆動特性の整合性を満たす条件下で、必要となるプラズマ温度、密度、閉じ込め改善係数等のプラズマ性能パラメータ等を解析した。平成23年度に実施したダイバータ解析において周辺プラズマにおいて必要なプラズマ密度に整合するように、平成24年度には中心プラズマの密度を高密度化する運転手法を検討した。 その結果、中心密度を高密度に維持したままでも、初期トリチウム割合0%から定格運転であるトリチウム割合50%までの徐々にトリチウム濃度を増加させる運転制御が可能であることを明らかにした。ただし、その場合の課題としては、炉心プラズマの高い閉じ込め性能が必要であり、実験炉ITERで計画されている閉じ込め改善係数1.5程度の実証を目指す必要がある。また、今回の高密度運転の場合は、プラズマの温度が下がる事による核融合反応率の低下のため、トリチウム割合0%から50%までの立ち上げ期間が長くなる結果となった。 炉本体・ブランケット関連に関しては、プラント熱出力と冷却水必要量の関係、海水からの重水回収性能・リチウム回収性能に関する文献調査を実施した。また、炉心プラズマ・ブランケット・燃料サイクルの相互作用を検討可能な解析コードの開発を実施し一部完成させた。これら成果の内、前年度までの結果も含めて国際学会にて発表し、議論の場を設けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炉心プラズマの詳細解析を実施し、平成24年度までに炉心プラズマにおけるトリチウム濃度と必要となるプラズマ性能や電流駆動パワーが明らかになり、最適化にむけた解析条件が明らかとなった。また、最適化の際に必要となる炉心プラズマ・ブランケット・燃料サイクルの相互関係を解析することが可能な計算コードもほぼ完成し、平成25年度に炉システム最適解析を実施する知見とツールの準備が整ったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に開発した炉心プラズマ・ブランケット・燃料サイクルの相互関係を解析可能な計算コードにおいて、炉心プラズマと燃料サイクルの連動部分の改良を加えた上で、炉システム解析を実施し、トリチウム割合0%から定格状態の50%まで到達する期間が最短となるような設計パラメータや運転パラメータを明らかにする。それらの結果は、予定している国際学会等で発表し、内外の研究者との議論する場を設け、考察を深めたうえで投稿論文として取り纏める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
システム最適化の効率化の為にPC(30万円)を購入すると共に、コンパイラーのバージョンアップやデータバックアップのためにハードディスク3台購入等の計算環境整備(20万円)を実施予定である。また、学会発表等の国内出張(20万円)を予定している。 平成24年度実施予定であった国際学会発表に関する海外出張は、平成25年度下期に実施する予定である。この国際学会発表に関する海外出張(約40万円)では、システム最適化の検討状況を発表すると共にITER機構等も訪問する事で、内外の研究者と最終取り纏めに向けた議論ならびに今後の展開に向けた情報収集を行う場を設ける。
|
Research Products
(3 results)