2012 Fiscal Year Annual Research Report
複雑流動場における多重乱流スケールの壁面物質伝達機構解明とFAC制御技術への挑戦
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23760821
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江原 真司 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30325485)
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Keywords | 流れ加速型腐食 / 旋回流 / オリフィス / 速度変動 |
Research Abstract |
流れ加速型腐食(FAC)はプラント配管で発生する代表的な流体流れによる配管減肉現象の一つである。2004年の美浜3号機2次系配管の破断事故はこのFACが原因と考えられ、配管内で生じた旋回流がオリフィスを通過することで減肉箇所の偏りが生じたと報告されている。本研究では流体挙動、特に乱流強度およびこれまで考慮されてこなかった乱れのスケール(周波数・時定数)に着目し、これらがFACに与える影響を実験的に明らかにするとともに、実験では取得が困難なデータ(壁ごく近傍の流れなど)を数値解析により明らかにすることを試みる。昨年度はオリフィスを有する円管配管に着目し、流れの入口条件を発達乱流として実験を行った。オリフィス下流における流れ場の詳細を屈折率調合PIV計測で取得し、速度変動の周波数解析を行った。速度変動パワースペクトル密度分布は、50Hz程度まではほぼ一定で高周波数側になると急激に減少するといったものになり、特定の周波数で卓越した値をとることはなかった。しかしその一定値が流れ方向位置により大きく異なり、実機で減肉が最大となる位置で最大となるという結果となり、またローパスフィルタをかけた場合にさらに実機との相関が強くなる傾向を見出した。しかしレイノルズ応力分布の方が相関がより強くなるという結果も得られた。今年度は入口条件を三次元接続二段エルボ下流で生成する旋回流とし、流れの可視化実験および安息香酸を流路壁に用いた減肉実験を行い、美浜事故における減肉の偏りについて考察を行った。減肉実験から得られる減肉分布と、可視化実験から得られる乱流エネルギー分布、レイノルズ応力分布を比較すると、減肉が大きくなる周方向位置はおよそ一致するが、軸方向分布のピーク位置がずれるなどの不一致も見られた。実験では流れの二次元分布のみ計測しているため、実際との相違が大きかった可能性がある。
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Research Products
(6 results)