2013 Fiscal Year Annual Research Report
生物から環境への「反作用」に着目した生態学・地球化学・進化学的理論研究
Project/Area Number |
23770024
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
瀬戸 繭美 奈良女子大学, 自然科学系, 助教 (10512717)
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Keywords | 化学合成細菌 / 数理モデル / 微生物群集 / 個体群動態 / 物質循環 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究では、物理化学的環境から生物への「作用」に焦点を当ててきた従来の多くの生態学モデルに対し、生物から物理化学的環境へ の「反作用」に着目し、生物と環境の相互作用の理論的法則性の解明に望んできた。生物による物理化学的環境への影響、その結果として生じる生物の増殖動態や適応度の変化を知ることは、地球化学的な物質の挙動や生物の生理・生態系の成り立ちを理解する上で非常に重要である。 平成23-24年度は植物プランクトンや従属栄養バクテリアがリン・亜鉛・炭素の循環に影響することで、それぞれの個体群の増殖動態や微生物ループの構造に及ぶ影響について、数理モデリングとその解析によって検証した。これらの研究成果について2本の論文を国際誌(Journal of Theoretical Biology誌並びにChemosphere誌)に投稿、受理された。また、本研究成果について国内学会で1件の招待講演、シンポジウムで1件の講演、国際学会で1件の口頭発表を行った。 平成24-25年度は酸化還元反応を促進することによって代謝に必要なエネルギーを得る化学合成細菌群衆を対象とし、化学反応と化学合成細菌の個体群動態をモデル化し、エネルギー収量と反応速度の変化に対する細菌個体群の応答について調べた。化学合成細菌はバイオリメディエーション技術に用いられる他、地球上の様々な栄養塩・重金属の循環に密接に関わる。この研究成果について1本の論文を国際誌(Geomicrobiology Journal)に投稿、受理された他、現在2本の論文を執筆中である。また、本研究成果について国内学会で1件の口頭発表、国際学会で2件の口頭発表を行った。本研究を通し、カナダのUniversity of WaterlooのEcohydrology Research Groupとの共同研究に着手することとなり、現在進展中である。
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